
19回目を迎えた「岡本太郎現代芸術賞」の受賞者がこのほど決定し、岡本太郎美術館(川崎市多摩区枡形)で3日から受賞作品の展示会が始まった。
次代のアーティストを顕彰する通称「TARO賞」には、485点の応募があり23組が入選した。最優秀賞となるTARO賞には三宅感さんの「青空があるでしょう」が選ばれ、続いて「岡本敏子賞」に折原智江さんの「ミス煎餅」、特別賞に笹岡由梨子さんの「Atem(えーてむ)」が選ばれた。
TARO賞の三宅さんの作品は、人生をテーマとした4メートル超の巨大壁画。仕事、生活、誕生と死など七つのパートに分けて人の生から死を表現している。審査を務めた美術批評家の椹木野衣・多摩美術大教授は「生活に根ざしていながら、太郎が触発されたメキシコの巨大壁画のような時の厚みがあり、色彩も生命力にあふれている。危険な力作だ」と絶賛した。
敏子賞に選ばれた折原さんの作品はタイトル通り煎餅を素材とし、自身の名を記した墓を造形した。ワタリウム美術館キュレーターの和多利浩一さんは「生家が煎餅屋である作家自身が、私はこのような生まれでこれから活動していくという宣言をしている作品だ」と評価した。
入選した23点が4月10日まで展示されている。同美術館は「今回は大作が多い。実際に足を運んでその迫力に触れてほしい」と来場を呼び掛けている。
一般600円、高校・大学生、65歳以上400円、中学生以下無料。問い合わせは、同美術館電話044(900)9898。