
県内で最も古いアマチュア劇団で、小田原市を拠点に活動する「劇団こゆるぎ座」が創立70周年を迎える。地域に根差した文化振興を掲げ、近年は郷土の歴史にちなんだテーマで公演。31日と11月1日には小田原市民会館大ホール(同市本町)で記念公演を開催する。
同劇団は戦後間もない1946年1月、荒廃した小田原に明るい文化の灯をともそうと、早稲田大学の文学青年たちが15人ほど集まって結成。市民劇団として活動を続け、85年には神奈川文化賞を受賞した。
現在のメンバーは会社員や主婦、自営業者ら20~80代の男女約30人。毎年秋の定期公演に合わせ、5月の連休明けから週1回、市内の小学校や生涯学習施設などで稽古を重ねている。
約60年前に入団し、70年から座長を務める関口秀夫さん(76)は「創設メンバーの情熱が次の世代へと受け継がれてきた。支えてくれた人たちへの恩返しとして地域の文化振興に寄与したい」との思いを語る。ただメンバーの平均年齢は50歳近くで「趣味や生活スタイルが多様な時代だけに後継者の育成が課題。若い人たちにも多く入ってほしい」と悩みも口にする。
過去には「ロミオとジュリエット」や「アンネの日記」といった著名作を上演してきたが、近年は小田原の史実に基づいた作品が中心だ。「小田原は歴史のまちで史実が豊富。地域に根差した芸術文化は自分たちの使命」と関口さん。
63回目となる今回の記念公演では、オリジナル戯曲「荻窪用水記」を上演する。江戸時代に小田原藩の藩命による治水工事を長い年月をかけて完成させた農民たちの苦闘を描いている。
公演は31日午後6時と11月1日午後1時の2回。入場料は千円。前売り券は有隣堂小田原ラスカ店などで販売している。当日券は会場で販売する。問い合わせは、劇団事務局電話0465(22)2988。