クリスマスプレゼントに芸術鑑賞を-。日韓国交正常化から50年の節目に、韓国の芸術や文化を伝えるプロジェクト「サンタクロース・プレゼント川崎」が、川崎市内で動きだした。12月に上演される韓国の子ども合唱オペラ「王子とクリスマス」に、市内の児童養護施設の子どもたちを招待する企画。「ぎくしゃくした関係を市民の力で解きほぐしたい」。実行委員会は、寄付とともに友好関係の深化に向けた交流を呼び掛けている。
「王子とクリスマス」は、昭和音楽大学(川崎市麻生区)を会場に、昨年創立50年を迎えた「ソウル市少年少女合唱団」の約60人が出演。20世紀初頭、朝鮮王朝最後の王子がクリスマスの準備真っ最中の町の教会学校に迷い込み、貧しい平民の少年との出会いと別れをきっかけに、人間的に成長する、というストーリー。家安勝利・同大演奏センター長も「韓国人の歌のレベルは非常に高い。誰もが楽しめる作品」と太鼓判を押す。
韓国の文化に触れられるオペラ鑑賞を日韓友好の懸け橋にしようと立ち上がったのが、川崎商工会議所の山田長満会頭をはじめ、市ふれあい館の元館長で社会福祉法人「青丘社」理事長のペェチュンドさん、市議ら有志でつくる実行委員会。日ごろ芸術鑑賞の機会が少ない児童養護施設のほか、市内のフリースクールなどに通う子どもたちと保護者の計200人を招待しようと、寄付を募っている。
政治ではぎくしゃくした関係が続く両国。副実行委員長のペェ理事長は「川崎は古くから在日コリアンが多く、共に生きてきた歴史がある。韓国への認識を変えるきっかけになれば」。実行委員長の山田会頭も「市民に『サンタクロース』になってもらい、ご協力をお願いしたい」と賛同を呼び掛けている。
寄付金は招待する200人分のチケット代や交通費などに使う予定で、50万円が目標。12月20日午後3時開演。字幕付き。一般の入場料は大人2800円、子ども1800円など。寄付の問い合わせは、実行委事務局電話044(244)7610。