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刀狩りも返り討ちに
トホホ釣り日誌【4】東京湾・大貫沖のルアータチウオ

カルチャー | 神奈川新聞 | 2015年8月7日(金) 15:00

取材日、船内トップになった新谷和之さん。さおのシャクリが抜群だった
取材日、船内トップになった新谷和之さん。さおのシャクリが抜群だった

 ギラギラと銀色に輝く魚体、パワフルな引き味。東京湾、夏の釣り物として人気急上昇中なのが、ルアーで狙うタチウオだ。その魚体は海が鍛えた「名刀」そのもので、抜群の食味もその名に恥じない。金沢八景・釣り船太田屋(佐野一也船長)で「刀狩り」に出掛けた。その結末やいかに。

 東京湾・大貫沖ではタチウオの数が出でおり、己の腕を棚に上げたトホホ記者は、「おれにも狩れる(釣れる)」とうそぶき、佐野船長の船でタチウオが潜む海に乗り出した。

金属を餌に見せる

 立ち泳ぎをすることからタチウオとも呼ばれ、小魚、エビなどを補食している海の名刀。この魚を仕留めるのが、メタルジグというルアー(擬餌針)。人から見れば、「どうみても小魚に見えない金属の板」を、うまそうにみせるところが、この釣りの肝になる。


小魚に見えないメタルジグ(金属の板)をうまい餌にみせるのがこの釣りの肝だ
小魚に見えないメタルジグ(金属の板)をうまい餌にみせるのがこの釣りの肝だ

 釣り方は船長が船内放送で「底から5メートル」などとタチウオのたな(魚がいるところ)を指示するから、浅場の場合はジグを海底に沈めてから指示だなまで巻き上げればいい。



 このとき、さおを30センチぐらい上下させなからリールを一定のスピード、あるいは途中で一瞬止めて巻いて、アクションをつけると生きのいい小魚や弱った小魚を装いやすくなる。小魚と間違えたタチウオが、ギョロリとした目でジグを見つけ、鋭い歯でガブリッと食いついてくるという寸法だ。


タチウオの歯は鋭い。触れるとスパッと切れるので注意が必要だ
タチウオの歯は鋭い。触れるとスパッと切れるので注意が必要だ

すっぽ抜けが多い

 約30分で釣り場に到着。攻めるのは水深15メートル前後の浅場。「引きが強くておいしいから」と埼玉県から父親の小山内亮さんと来たあおい君11歳が、幸先よく60センチのタチウオを釣り上げるが、後が続かない。1週間前まではタチウオの群れが固まり、30隻を超える「大船団」が形成されていたというが、数日前の大雨で潮が濁り、「群れが散ってしまった」と佐野船長。

 船内を動き回り、話を聞き、写真を撮って取材していたが、頻繁に「はい(仕掛けを)上げて」と船内放送。移動が多く、船長は小さな群れを追い掛け、釣ってもらおうと懸命に操船していた。

 右船首でリズムよくさおを上下させ、シャクっていたのが、船内トップになった新谷和之さん=相模原市南区=。さおが「グン」と曲がり、写真を撮ろうと構えていると、「あっ。すっぽ抜けだ。あーあ、逃げちゃった」と悔しそう。その後もタチウオの食いが浅いのか、すっぽ抜ける釣り人がチラホラ。

 昼すぎ、取材も一段落。「ヨッシャーっ。刀狩りだ。タチウオ釣っちゃるぞ!」とメタルジグを目の前の海に投入。コツンとジグが海底に着いた感触が伝わってくる。

 ワクワクしながらリールを巻くと、「ガツッ」という手応えとともに、ギュンとさおが曲がる。タチウオが食らいついたサインだ。「おーっ」とどよめく船内。「へへへっ。これでトホホもさよならじゃ。どんなもんだい」と内心ほくそ笑んでいると、急にフワッとさおが軽くなり、すっぽ抜け。

 記者が船内を沸かしたのは、この一瞬だけ。その後、何度もジグを落とし込み、リールを巻けど、「音無の構え」。帰港間際にタチウオの食いがよくなって、バタバタ釣れても、すでに戦意喪失。刀狩りどころか、タチウオに返り討ちに遭い、今回もトホホな釣果となってしまった。


幸先よく60センチのタチウオを釣り上げた小山内あおい君。思わず笑みがこぼれた
幸先よく60センチのタチウオを釣り上げた小山内あおい君。思わず笑みがこぼれた

小山内あおい君の父親、亮さん。タチウオを釣り上げ、ご満悦だ
小山内あおい君の父親、亮さん。タチウオを釣り上げ、ご満悦だ

もう一つの「異名」

 タチウオは群れの移動が速く、散ってしまう性質があることから「幽霊」とも呼ばれ、釣り人泣かせの面もある。今回は大雨と濁った川の水が大量に海に流入。潮の色が変わり、群れが散ってしまった。「幽霊」の面が強く出て、小さな群れで食いが浅いという、「妖刀」に翻弄(ほんろう)されることになってしまった。

 釣果も60~85センチが0~6匹と振るわなかった。しかし、潮の状態が直った現在、釣果は110センチ超えの大型交じりで、5~25匹ぐらいの釣果となっている。

 佐野一也船長は「タチウオはムラがあるものの、魚自体はいるので、潮が安定すれば強い引きを秋口まで楽しめますよ」と話している。


佐野一也船長のひと言
佐野一也船長のひと言

 大貫沖や第二海堡(ほ)の浅場か、金谷沖の深場を狙うので、メタルジグは80~110グラムを用意してください。色はピンク系、赤系、紫系があればいいでしょう。さおはシーバスロッドでも構いません。

 ルアーにイカリ針かカットウ針を付けますが、かえしをつぶした「バーブレス」にしてください。

 タチウオは歯が鋭いので、道糸の保護のため、リーダー(先糸)として10号以上を約3メートル付けます。取り込みのときにかまれないため、メゴチばさみを持参するといいでしょう。

 魚群探知機器を見ながら、タチウオのたなを船内放送で指示しますので、指示だなを守ってください。

 リールを巻き上げ、タチウオを取り込むとき、ルアーが外れて体に向かって飛んでくることもあるので、頭と目を保護するため帽子、サングラスの着用をお薦めします。

メモ
▽出船 午前7時
▽料金 9000円(氷付き)
▽問い合わせ つり船太田屋電話045(782)4657

 
 

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