岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」の制作で助手を務めた画家にスポットを当てた企画展「竹田鎭三郎(しんざぶろう)-メキシコに架けたアートの橋」展が、川崎市岡本太郎美術館(多摩区枡形)で開かれている。中南米の大地で人間本来の姿を追い求め、80歳の今も創作を続ける竹田氏の知られざる軌跡を作品とともに紹介している。7月5日まで。
竹田氏は1935年に生まれ、故郷の愛知県瀬戸市や沖縄県内で、土着の人々の生活や風習を見つめた作品を生み出した。近代文明に染まりきらない人間本来の姿を追い求めて28歳でメキシコに渡り、68年に知人を通じて「明日の神話」の制作助手を依頼された。現在もメキシコで創作活動を続け、現地の州立大学から名誉博士号を授与されるなど美術教育にも力を入れる。
企画展の会場では、先住民の文化が残るオアハカ州の人々の生命の共存や暮らしを描いた壁画「オアハカの人々」が独特の存在感を放ち、油絵を筒状に巻いて天井からつるした新作「生きる」が目を引く。初期の版画や絵本の原画、オアハカで制作した代表的な油彩画など約150点を展示。「明日の神話」の原画や制作当時の写真、竹田が作業の進捗(しんちょく)状況を報告した岡本宛の書簡なども常設展で紹介している。
午前9時半~午後5時。観覧料は一般900円、高校生・大学生と65歳以上は700円。中学生以下は無料。休館日などの問い合わせは、同美術館電話044(900)9898。