
昨年5月に死去した作曲家で編曲家・指揮者の岩井直溥さん(享年90歳)が生前に残したアレンジ・スコアを元にしたコンサートが10日、東京芸術劇場(東京都豊島区)で行われる。演奏は岩井さんと40年以上コンビを組んでいたプロ楽団「東京佼成ウインドオーケストラ」が担当。ステージでは岩井さんが亡くなった後に見つかった「シング・シング・シング」の吹奏楽版が披露される。
ジャズの代表曲「シング・シング・シング」はトランペット奏者のルイ・プリマが作曲したもの。躍動感あるトランペット、サックス、クラリネットの音が魅力的な曲で、岩井は1981年に「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」で同曲の吹奏楽版を発表していた。しかし簡易版であったため、「いつかカーネギー・ホールでベニー・グッドマンが演奏した名演を吹奏楽で再現し、本物のジャズの感動を知って欲しい」と少しずつ楽譜を書き続けていた。簡易版は出版譜として世に出ていたが、岩井さんの遺族が数千曲のアレンジ・スコアの中から大編成版を発見し、コンサートで再現することが決まった。
「コンサートは、追悼でも一周忌でもなく、埋もれていたスコアを開封する第一歩」と関係者は決意をみなぎらせる。「かっこいい岩井サウンドを次世代に伝えていきたい」。指揮者の渡邊一正、オーケストラメンバーらは願う。
ステージでは岩井さんの代表曲「メイン・ストリート」や、名アレンジと評価される「黒い炎」なども演奏する。チケットは全席指定、一般が3500円、高校生以下の学生が2000円。一般と学生の組み合わせが5000円。問い合わせはチケット専用ダイヤル0120-692-556(午前9時半から午後4時半まで、日・祝休み)。