他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. カルチャー
  4. 地元での終幕に涙 ViViD、横浜で解散ライブ

旬感
地元での終幕に涙 ViViD、横浜で解散ライブ

カルチャー | 神奈川新聞 | 2015年4月30日(木) 03:00

6年の活動を締めくくるライブを開いたViViD=パシフィコ横浜
6年の活動を締めくくるライブを開いたViViD=パシフィコ横浜

 神奈川県内出身のメンバーを中心に結成された5人組ロックバンド「ViViD」が29日、パシフィコ横浜国立大ホール(横浜市西区)で解散ライブを開いた。川崎出身のギターのRENOが「盛大に花を咲かせて散る」と意気込んだ、結成6年間の思いが詰まったライブではデビュー曲「『夢』~ムゲンノカナタ~」、今年1月の解散発表後にファンへの感謝の気持ちをつづった「Thank you for all」など約3時間40分で全30曲を演奏。ViViDとして道を歩み始めたときに生まれた「Dear」を披露した際には、ベースのイヴがうずくまり号泣する場面があったが、ギターのRYOGAが左肩をさすりなぐさめ、最後まで絆の深さを感じさせた。

 開演時刻を10分ほど過ぎ始まった最後の舞台。会場の照明が落とされると、ステージ背景に巨大な教会が浮かび上がった。Ko-kiのドラムの後ろにそびえた純白の扉が開くと、ギターのRENOを筆頭に、RYOGA、Ko-ki、イヴ、ボーカルのシンが登場。RENOは右手で作った握り拳を胸の前でトントンとたたき、大きな歓声に応えた。

 「『夢』~ムゲンノカナタ~」で躍動した会場を激しく「THEATER」が揺さぶっていく。「LETTER」で桜色に染まったフロアは、RENOとRYOGAのギターが波紋のように広がる「夏花」で季節を変えた。Ko-kiがジャケットを脱ぎ捨てた「The Devil whispers」は、己の身体を打ち砕くような激しいドラムで観客を魅了。「vanity」ではドラムセットを破壊するような気迫で、ステージを真っ赤に染めた。

 アンコールの1曲目には、2012年1月に初めて行った日本武道館(東京都千代田区)に立つことができた感謝を込めた「message」を熱唱。「広い世界で出会えた奇跡だね」という歌詞にこらえていた涙をあふれさせるファンの姿もあった。熱い気持ちで満ちた会場。Ko-kiは精神を集中するように、そっと唇にスティックを当てる。思いをくんだ4人はKo-kiのドラムの前に集合。Ko-kiは「すぅ」と一息し肩をふくらませると、鬼気迫る表情でドラムに対峙。左手で持っていたスティックを天に突き上げると、ファンも手を振り上げて応戦し、会場が一つになった。

 ViViDは2009年3月に、川崎市出身のKo-kiと横浜市出身のイヴらを中心に結成し、同年7月にインディーズチャートで初登場2位を記録したシングル「Take-off」で始動。ライブを重ねるごとに動員を増やしていった。2010年7月には仏パリで約20万人を動員する日本紹介イベント「JAPAN EXPO」に、同年12月にはタイで初めて行われたフェス「OISHI J-ROCK HITZ Fest」に出演するなどデビュー前から国内外で活動し、結成からわずか1年10カ月目の2011年1月にシングル「『夢』~ムゲンノカナタ~」でメジャーデビュー。デビューの約1年後には、ロックの聖地・日本武道館で公演。8000人の前で「目標は東京ドーム」と誓った。

 イヴは「今日ここが世界で一番盛り上がっている場所になった」。RYOGAは「ファンから愛とか笑顔をもらって、いい音楽を作らなきゃと思ってきた。こんなに人に愛してもらったことない」と目に涙を浮かべた。RENOは「まだ続いちゃう気がしちゃってね。みんなの笑顔を見ていると……」と声を詰まらせた。「自分が伝えたいことがやっと分かった」と語り始めたシンは「生きるために歌うんじゃなくて、歌うために生きたい」と決意表明。Ko-kiは「今日この景色を見て、音楽をやってきた10年間を思い出した。今日は泣かないって思っていたけど、こらえられなくなってしまった」とこぼれ落ちる涙を何度もぬぐうと、「(東京ドームに立つという)夢を叶えることができなかったことは正直悔しい。でもこれから生きていく人生の中で、今日のことは一生忘れません。僕らの音楽はずっと残るからこれからも聴いてください」と拍手が鳴り止まない会場を愛おしそうに見つめていた。

 「Take-off」で翼を手に入れた5人は、「『夢』~ムゲンノカナタ~」で輝く光の中へと羽ばたいた。“約束の場所”へ--。吹きすさぶ風の中でもがき苦しみながら、自らが生きた証を音楽として残し続け、“叶えた夢の大事さ”と“叶わぬ夢の儚さ”を知った。色あせてしまった景色の中に留まるのではなく、“新しい空を描こう”と決めた別れ。--終わりは、始まり。RENOは「オレら5人、別々の道だけど、明日に向かって進まなくちゃいけない。みんなも前を向いて、立ち止まらないで」と呼びかけると、最後は「Take-off」で大きな花火を打ち上げた。新しいステージへと羽ばたいた5人が歌詞に、曲に込めた思いはムゲンノカナタへ広がっていく。【西村綾乃】


6年の活動を締めくくるライブを開いたViViD=パシフィコ横浜
6年の活動を締めくくるライブを開いたViViD=パシフィコ横浜







 
 

旬刊に関するその他のニュース

カルチャーに関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング