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1万人のオーディションから主役射止める
旬感:藤野涼子 「ソロモンの偽証」でデビュー

カルチャー | 神奈川新聞 | 2015年3月10日(火) 16:02

映画「ソロモンの偽証」で女優デビューした、藤野涼子さん
映画「ソロモンの偽証」で女優デビューした、藤野涼子さん

 中学校内で起きた死亡事故の秘密を暴くため、33人の14歳が“校内裁判”を起こし、事件とそして自らと向き合っていく映画「ソロモンの偽証 前篇・事件」(成島出監督)の全国公開が始まった。原作は宮部みゆきのミステリー小説。1万人が応募した日本史上最大級の選考から主役に選ばれ、同作でデビューした神奈川県出身の藤野涼子(15)に聞く。

 映画出演時と同じセーラー服で取材現場に現れた藤野。左胸に光る「2A」のバッジが事件を思い出させる。黒いゴムできつく縛った長い髪、利発そうなおでこが印象的だ。

 物語は中学2年生のクリスマスの朝、雪が降り積もった学校の校庭で死んでいる同級生・柏木卓也(望月歩)を涼子が発見したところから始まる。カッと見開いた目は、最期のときに何を見たのか。自分にできることはなかったのか、そして“しなかった”ことはなんだったのか、すべてを見透かすような“目”にとらわれた涼子は、踏み出せない自分にいらだっていた。

 「映画の涼子は、最初とても弱虫なんです。でも友だちや親、周囲とぶつかって、自分の感情をさらけ出していく中で、自分が持っていた強い部分に気がついていく。わたし自身も人に自分の気持ちを伝えることは得意な方ではないので、どうすれば言葉が伝わる力を持つようになるのか悩みました。そして涼子の変化を自分なりにとらえていこうと台本の余白に、『お風呂の中では泣いているかも』とか書き込んで、涼子像を作り上げていきました」。

 「涼子になれた」と感じたのは、「心が血だらけだ」と絶望する場面だ。クラス委員を務める涼子は誰もが認める優等生。「助け合い」などを訴えているが、いじめの現場を見つけたとき、足がすくみその場を立ち去ろうとした。「お前みたいなのが1番たちが悪い」と死んだ柏木にののしられあふれた涙。撮影が終わるまで丸1日がかかった。どうすればいいのかと迷った感情。「カット(撮影終了の意味)」の声がかかったのは「無」になったときだった。

 お笑い好きの父、ドラマ好きな母との3人暮らし。自宅にはいつもテレビがついていたことから、「テレビの中に入ってみたい。あの中はどうなっているんだろう」という好奇心が、幼い少女の夢を「女優」とさせた。事務所に入ったのは11歳のとき。「セリフを覚える練習になるから」と同じ女優志望だった友人と「ソフトクリーム」「ワンピース」などランダムに並べた30個の単語を暗記し、成功したら1粒のチョコレートを食べることをご褒美にがんばった。

 涼子の父で刑事役の俳優・佐々木蔵之介(47)は、「全力でぶつかってくる姿に、毎回感動させられた。涼子と彼女(藤野さん本人)の成長も重なって現場で心を打たれていた」と絶賛する。“事故”のことは忘れなさいと、やり過ごそうとする大人たちには「一緒に卒業できるはずだったのに、死んじゃったんですよ」と校内裁判の開廷を求めた。裁判にこだわり感情が不安定な涼子に「あなたらしくない」と肩をたたいた母には、「私らしいって何。何も知らないくせに」と反発。胸の奥をグンとつく言葉は、ついた火を盛らせ、見ている私たちの感情と涼子の気持ちを同期させた。

 オーディションに7カ月。撮影に4カ月。「中学3年生の時間は、すべてソロモンに賭けた。映画は私の青春になった」。

 役をもらった33人はもちろん、オーディションで破れた1人1人の思いがあって、映画は完成した。成島監督は映画のエンドロールでオーディションに参加したすべての役者たちをスペシャルサンクスとして「全国でオーディションを受けた学生たち」と記し称えた。

 「後篇・裁判」は4月11日に“開廷”する。

【神奈川新聞】











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