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貴重な展示物どう守る 神奈川県博物館協会が防災計画

カルチャー | 神奈川新聞 | 2015年2月12日(木) 03:00

東日本大震災の文化財レスキューの一環で行われた貝類標本の洗浄作業=真鶴町立遠藤貝類博物館
東日本大震災の文化財レスキューの一環で行われた貝類標本の洗浄作業=真鶴町立遠藤貝類博物館

災害時に貴重な資料や展示物を守るため、県博物館協会(薄井和男会長、95施設)が官民の枠を超えた相互救助の仕組みづくりに乗り出した。東日本大震災で脚光を浴びた「文化財レスキュー」に着想を得た試みで、動物園や水族館も含む加盟施設の多様性や個性を踏まえ、運搬や保存、修復などで協力し合う。今後1年かけて協会としての防災計画を策定するとともに、緊急時に必要な資金をすぐに確保できるよう基金の設立も目指す。

同協会には、県立施設の生命の星・地球博物館(小田原市)や金沢文庫(横浜市金沢区)、自治体の郷土資料館、水族館や動物園、美術館、民間や寺社の展示施設などが加盟する。東日本大震災の津波で被災した歴史資料や美術品などの散逸を防ぐため、文化庁の呼び掛けで東北を中心に展開された洗浄や修復などの文化財レスキューに携わった施設もある。

そうした経験やノウハウも生かし、今年で創立60周年を迎える協会の記念事業として防災計画の策定に着手した。14日の公開研修会で公表する試案を基に議論を重ね、2015年度末にも計画を固める考えだ。

神奈川が深刻な被害を受ける事態に備え、あらかじめ施設間のネットワークを強化する。具体的には、複数の施設が合同訓練を通じて連携の道を探るほか、収蔵資料や展示品などのリストを共有しておき、被災後の保全にいち早く着手するアイデアもある。

災害発生時には、被災した施設の状況や特徴を見極めた上で、救助や展示品などの受け入れが可能な施設を調整する方向だ。

協会の事務局を務める県立歴史博物館の寺嵜弘康学芸部長は「例えば、津波で海沿いの施設が被災したときは内陸の博物館が救助に当たることができる。命を扱う施設でも、水族館同士、動物園同士といった性格に応じた支援が可能ではないか」と取り組みの成果に期待。基金の設立については「運搬用のトラックを直後に手配するといった迅速な対応につながる」と意義を強調する。

津波に限らず、地震や火災、台風、局地豪雨なども想定。今後、県内の大学などが関わる資料保全ネットワークや県外の専門施設、関係団体との役割分担も検討していくという。

計画づくりに携わる真鶴町立遠藤貝類博物館の山本真土学芸員は、津波で被災した岩手県陸前高田市のミュージアムの貝類標本を修復した経験を踏まえ、指摘する。「施設の展示品や収蔵品は、各地域のアイデンティティーを伝えるものだ。それらを絶やさないようにするためにも今回のような取り組みが欠かせない」

公開研修会は14日午後1時から。神奈川より先に取り組んだ千葉県博物館協会などの事例発表もある。会場は横浜市中区南仲通の県立歴史博物館。参加希望者はメールかファクスで同博物館へ。問い合わせは、同博物館電話045(201)0926。

【神奈川新聞】

 
 

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