
川崎市内で増加するマンションの防災を考えるセミナーが27日、同市高津区の市男女共同参画センターで開かれた。自治会とは別にマンション単位で防災活動や災害対応に当たる必要性とともに、設備面の復旧や対策をあらかじめ検討しておくことが大切との考えが専門家から示された。
国内の分譲マンション居住者は約1400万人と推計される。同市内は全国でもその比率が高く、マンション管理士の横倉啓子さんは「賃貸マンションも合わせると、半数以上の世帯が住んでいる」と現状を説明。従来の一戸建てを中心とした地域防災対策ではマンション特有の課題に対応できないとして、災害時も住み続けられる方法を居住者の力で探るべきだとした。
具体的な課題として、▽建物や設備の耐震性確保▽ライフライン停止時の対応▽復旧費用の捻出▽緊急時の合意形成-などを挙げ、「いざというときに欠かせない住民のつながりを日ごろから深めて」と呼び掛けた。
直下型だった20年前の阪神大震災では、主要構造部が大破するなど甚大な被害が出たマンションがあったことを指摘したのは、NPO法人かわさきマンション管理組合ネットワークの相川洋明会長。消火活動がままならず、鉄筋コンクリート造の建物に延焼したケースもあったという。
給排水や電気、ガス、エレベーターといった設備の被害事例や対策の方法も紹介。「停電時もしばらく使える非常灯や非常放送設備を活用し、避難や情報共有に役立ててほしい」と促した。
また、同センターと今回のセミナーを主催した「女性の視点でつくるかわさき防災プロジェクト」のメンバーは、マンションの防災マニュアルを簡易な回覧形式にし、居住者が手に取りやすくするアイデアを発表した。
【神奈川新聞】