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風刺漫画“謎”解いて 専門の学芸員募集 川崎市市民ミュージアム

カルチャー | 神奈川新聞 | 2015年1月16日(金) 03:00

1877年発行の「團團珍聞」の創刊号(右)と78年発行の驥尾團子=川崎市市民ミュージアム所蔵
1877年発行の「團團珍聞」の創刊号(右)と78年発行の驥尾團子=川崎市市民ミュージアム所蔵

フランス週刊紙銃撃事件で物議を醸す「風刺画」の世界。日本では明治期以降、風刺漫画雑誌が盛んに発行された歴史があり、川崎市市民ミュージアム(中原区)所蔵のコレクションは国内有数を誇ることで知られる。貴重な資料も多いが、作品に込められたメッセージを読み解くには当時の世相を踏まえた知識が不可欠。同館は資料の解説作業などに当たる風刺漫画担当の学芸員を募集中だ。

改装作業のため閉館中の同ミュージアム。その地下資料室に眠る貴重な資料の一つが、1877(明治10)年発行の「團(まる)團(まる)珍聞」の創刊号だ。日本人が刊行した風刺漫画雑誌の先駆けで、当時の自由民権運動に大きな影響を与えたとされる。

表紙からは、毎週土曜発行で値段は5銭と読み取れる。学芸室の望月一樹室長は「風刺漫画は時代を映す鏡。背景にある政治や社会に問題を投げ掛け、権力者と民衆とのギャップを映し出してきた」と、その資料的価値を説明する。

一方で、当時の風刺には意図をくみ取りにくいものも多い。「リアルタイムの風刺漫画は理解できても、100年前、150年前の作品は当時の世相などを把握しなければ読み解くことが難しい」と、望月室長は付け加える。

同ミュージアムは博物館と美術館の複合施設で、漫画史研究は力を入れるジャンルの一つ。1988年の開館前から収集を始め、風刺漫画を含む漫画作品・資料約3万6千点を収蔵する。「時局風刺」が主流で、今回のフランスの事件のように宗教対立をあおるような作品はないという。

所蔵品の中には「絵解き」と呼ばれる解説作業が未着手の作品も多く、専門の学芸員を新たに募集。漫画部門の人材を厚くし、今後の特別展示などにつなげていく考えだ。ただ、募集条件は「主に風刺漫画の専門知識を有する」学芸員資格者に限定され、応募があるかは微妙。望月室長も「かなりコアな仕事なのは確か」とした上で、「大学のゼミで学んだ若い方などに、ぜひチャレンジしてほしい」と話している。

【神奈川新聞】

 
 

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