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【照明灯】小津安二郎の戦争観

カルチャー | 神奈川新聞 | 2014年10月25日(土) 09:46

久しぶりに足を運んだ北鎌倉・円覚寺は、秋明菊の花が盛りだった。女優でエッセイストの中井貴恵さんが音楽家と組み、小津安二郎監督の遺作「秋刀魚の味」を朗読した「音語り」を楽しんだ

▼ジャズピアニストの松本峰明さんが冒頭に演奏したのは「軍艦マーチ」だった。小津映画の音楽はあまり主張しないという評価が定着しているが、この作品では印象的なシーンで重要な役割を果たしている

▼平山(笠智衆)は駆逐艦の艦長時代の部下だった坂本(加東大介)と出会い、バーに誘われる。マーチに合わせて海軍式の敬礼で行進する坂本に、平山は笑顔で敬礼を返す。だが、単純に戦中を懐かしむ人物ではないようだ

▼「もし戦争に勝っていたら」と坂本が切り出した話題に対し、平山には「けど、負けてよかったじゃないか」と言わせている。中国戦線で辛酸をなめ、映画監督としての才能を認めていた山中貞雄の戦病死に衝撃を受けた小津の戦争観がにじみ出る

▼娘(岩下志麻)の婚礼が済み、深く酔って帰宅した平山が口ずさんだのは〈守るも攻めるも黒鉄(くろがね)の…〉。寂しさと老いが忍び寄る。プロデューサーだった山内静夫さんの「悲しい場面に悲しい音楽を使うのを嫌った」という言葉通りの小津流の演出である。

【神奈川新聞】

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