107歳の女性が紡ぎ続けてきた作品の数々を紹介する「107歳のフランス刺しゅう展」が6日、鎌倉市小町のカトレヤギャラリーで始まった。80歳から習い始めた刺しゅうを、今も続ける橋本ちゑさん(同市扇ガ谷)。初の個展で、四季折々の花を鮮やかに咲き誇らせた。
赤と白のツバキ、花びらをそっと散らす桜、かわいらしいチューリップやスイートピー、アサガオ、ポインセチア。麻の布に色とりどりの糸で表現された数十点が並ぶ。
橋本さんは「明るい色や、お花が好き。根気よく続けます」と笑顔を見せる。刺しゅうのほかに、クロスワードパズルや塗り絵、折り鶴も得意だ。
戦中、4人の子どもを育てた。「セーターは皆、母の手編みでした」と、長女の加藤佐紀子さん(77)が振り返る。刺しゅうに出合ったのは80歳のとき。作家の個展に魅了され、門をたたいた。以来27年、今も月に1度の習い事を続けている。
初日の6日は来観者に交ざって孫やひ孫も駆け付けた。「すてきですね」と声が掛かると、橋本さんは満面の笑みで応えていた。
「母は誇りです。元気で、何かを作り出す意気込みをずっと持ち続けている」。加藤さんもうれしそうに笑った。
個展は14日まで。午前10時~午後5時(最終日は同4時)。
【神奈川新聞】