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氷室京介 ソロ25年を経て終幕を決意 「自分でイメージしていることができない」と (20日、横浜スタジアム)

カルチャー | 神奈川新聞 | 2014年7月25日(金) 15:02

ライブで歌う氷室京介
ライブで歌う氷室京介

 ♪ずっとそばにいたいけど ここからはひとり--。

 そう歌い出した瞬間、なんとか持ちこたえていた空から大粒の雨が落ちてきた。雨は雷鳴をとどろかせ、次第に強くなるが、集まった2万5000人は終幕を決意したその姿を目に焼き付けようと、じっとステージを見つめていた。

 7月20日。横浜スタジアム。

 「氷室京介を卒業する」と告げたのは13日に山口であったステージ。同日中に「音楽活動について引退の意向があること」などを自身の公式サイトで発表した。3月から全国50公演を行い、その最終地であった横浜は氷室の“生の言葉”を聞こうとするファン、取材者であふれた。

 突然の告白について氷室は19日の公演で「ちゃんと報告します」とファンと向き合い、「右耳の調子が7年くらい前から悪い。聞き耳は左なので、それでやっていたけど(最近は)左側もどこかのトーンだけが聞こえなくて。これ以上やっていくのは無理」と秘めていた思いを吐露した。各地をめぐった長期ツアーも、「この歳(53歳)で50本は、正直つらくて、9本目の博多で『これが最後だよ』とかみさんに伝えた」と限界と向き合った上の決断だったと語った。

 20日の公演では冒頭、25年間の活動を振り返る写真や、サングラスをかけバイクにまたがる幼少期の写真が映し出された。「KISS ME」などのヒット曲をメドレーでつなげた約30分の映像。「これで最後なのかなぁ」とスクリーンを見つめていた男性が寂しそうにつぶやいていた。

 映像終了後。ステージに姿を現した氷室は、不安を募らせるファンの思いを拭い去るように力強い声を響かせた。「WILD NIGHT」では水をグイッと飲み込んだペットボトルを客席に投げ入れ、やんちゃな姿も見せた。スパンコールがちりばめられた真っ黒なジャケットを翻し、ステージ左右に伸びた花道へと駆け出していくパワフルな姿からは、「KING OF ROCK SHOW」と題したソロ初のツアーから、いままで変わらない熱を放っていることを感じさせた。

 MCでは、昨年3月に女性ファンが群馬にある実家を放火したことに触れ、「落ち込むときもあった」と話したが、「自慢できるような結果を残せているか分からないけど、オレみたいな大したことない人間に、25年間たくさんの連中が熱い気持ちを送ってくれたことが(誇り)。みんなの気持ちがオレを支えてくれた。みんなの前に戻ってくると、オレの人生はパーフェクトだと思える」と席を埋め尽くしたファンに感謝。「魂を抱いてくれ」(95年発売)の歌唱前には、「3日間、各日8時間以上スタジオに入って歌い続けたけど、歌えば歌うほど納得ができなくて、もっと良いものが録れるんじゃないかってね。子どものころからそういうところがあってさ。『中途半端なものが残っているからいけないんだ。全部消してくれ』ってエンジニアとケンカしたんだ」と明かした。

 自らを高めるための時間を惜しまない“努力の人”だが、山口の舞台では「若いときから決めていたんだ。自分でイメージしていることができなくなったとき、体力的に無理になったらやめようと」と自身が持つ引き際の美学へ理解を求めた。19・20日のステージは聴力だけではなく、19日の公演前、雨天の中で行ったリハーサルで転倒し肋骨骨折という大けがをおして、“命がけ”の歌唱だった。

 20日はスタジアム近くにあった落雷の影響で約1時間中断する不運もあったが、最新曲「ONE LIFE」など23曲を約4時間をかけて熱唱。持てる力を振り絞り、荒れ狂う横浜の空に歌声を刻んだ。「けがをしていてこれ以上できないけれど、このリベンジをどこかで必ず、約束します。こんなに情けない人間をもう1回支えてくれる連中が集まってくれたらうれしい」と客席に向け大きく手を振った。ステージを去る前、氷室は両耳にしていたイヤーモニターを外し、大歓声をじかに受け止めた。ステージから一歩前に足を進め、「サンキュー!」と両腕を天高く突き上げた。

 「ここからはひとり」。

 氷室の決断を聞いた横須賀市から来た40代女性は「氷室さん自身が決めたことなので、素直に受け止めたい」と涙をぬぐった。小田原市の50代男性は「引退は寂しいけれど、完全な状態じゃないと思いながら、歌い続けることは、本意じゃないと思うし、自分で引き際を決められる人は少ないと思う。この後の言動を見守りたい」と話していた。【西村綾乃】



最新曲「ONE LIFE」ジャケット
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横浜スタジアムには、2日間で5万人が集まった
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