「鞍馬天狗」で知られる作家・大佛(おさらぎ)次郎の子ども向け文学を紹介する「大佛次郎の子どもの文学 きれいな、透きとおった、本質に近い話」展が17日、横浜市中区の大佛次郎記念館で始まった。大佛の少年時代の愛読書や子ども向け作品の載った雑誌、書籍など約60点を展示している。
「天皇の世紀」や「パリ燃ゆ」など重厚な作品で知られる大佛だが、「ゆうれい船」や“少年のための鞍馬天狗”として書かれた「角兵衛獅子」など、60作以上の子ども向け作品を執筆した。特に、無類の猫好きだった大佛が子猫を主人公に描いた童話「スイッチョねこ」は、絵本として何度か刊行された。同展は、こうした作家の知られざる側面を伝えようと企画された。
会場には、横浜生まれの大佛が一時通った市立太田小学校(南区三春台)の児童有志による「スイッチョねこ」の感想画が展示されているほか、絶版となった作品の“手作り復刻”冊子を置いたコーナーも。来館した子どもたちが描いた感想画も順次展示していくという。同館では「『本を読み、感じ、自分で考える』ことを大切にした大佛の作品に触れる場になれば」と話している。
11月16日まで。問い合わせは同館電話045(622)5002。
【神奈川新聞】