小田原駅周辺の市街地などのカフェや商店などが「古本屋」に“変身”し、本にまつわるさまざまなイベントが催される「小田原ブックマーケット」が29日に開かれる。小田原市在住の小説家椰月(やづき)美智子さんが自著を販売するほか、全国各地のリトルプレス(自費出版小冊子)の展示販売も。主催者は、「本を通じ、会ったことのない人同士が小田原で交流してくれたら」と期待している。
企画したのは、同駅近くの中華料理店「三福」跡地を共同事務所やイベントスペース、カフェなどとして活用し、地域の魅力発信などに取り組む「旧三福」の運営メンバーら。同所で本の貸し出しや本にまつわるトークイベントを催す「三福文庫」主宰の牛山恵子さん(46)が実行委員長を務め、昨年11月に続き2回目の開催。
前回は、「小田原に本好きがこんなにいるのか」(牛山さん)と驚くほどの盛況。今回はカフェや雑貨店、アクセサリー店など計14店舗が参加し、店主らが本や本の内容にまつわるグッズなどを出品する。
緑公民館(同市栄町)会場には小田原を中心とする出店者19組が軒を連ね、古本市を展開。街のあちこちに小説や料理、お酒、映画や鉄道など幅広いジャンルの本が並ぶ予定だ。
また、同会場では「坂道の向こうにある海」など、小田原にちなむ小説を発表している椰月さんが、自著を直接販売。鎌倉の古書店「books moblo」と三福文庫が協力し、全国各地のリトルプレスなどを展示販売するコーナーも。これらの企画を通じ、「本の新しい楽しみ方を提供したい」と意気込む。
前回は開催をきっかけに、会場となった店の来場者がリピーターになるなどの反響もあった。「本を通じて一人一人がつながり合う場になってほしい。小田原を訪れる人が街を歩き回り、お気に入りの店を見つけてくれれば」と牛山さん。今後も読み聞かせやトークイベントなどとともに開催を続け、「小田原以外からも多くの人が訪れ、一日中、本で楽しめるイベントにしたい」と期待している。
午前11時から夕方ごろまで。当日のボランティア「しおり隊」も募集している。詳細は旧三福のウェブサイト(http://93puku.jp/)。
【神奈川新聞】