
神奈川芸術劇場(KAAT、横浜市中区)のアーティスティック・スーパーバイザー(芸術参与)を4月から務める演出家、俳優の白井晃さん(56)が10日、県庁と都内で会見した。任期は2年間で創作全般の企画、助言を担う。KAATは同時に、空席となっている芸術監督について、2年後に白井さんが就任する見通しであると発表した。
白井さんは、各地の公共劇場で公演に携わった経験を踏まえ、「既成概念を超えた新しいムーブメントを試行したい」と抱負を語った。かつてジャズやダンスの公演を見るため、横浜・県民ホールを頻繁に訪れた思い出も披露。「東京との微妙な距離感をうまく生かしたい」と、独創性のある作品の発信を誓った。
今回の人事は、2011年1月の開館当初からの宮本亜門芸術監督が、任期満了に伴い今年3月に退任したことに伴う。参与職は監督に準じ、芸術的な観点から劇場運営に携わる。
監督を空席のままにした理由について、同席したKAATの眞野純館長は、15年度末に運営母体が指定管理者の更新期を迎えることを挙げた。2年間の“助走期間”を経て「次期芸術監督として白井さんを提案したい」と説明した。
会見では就任第1作「Lost Memory Theatre」の制作も発表された。世界的音楽家・三宅純さんの作品を題材に、演劇やダンスなどの要素を取り入れる。演出、出演する白井さんは「今までできなかったことをやりたい」と話し、共演する俳優の山本耕史さんも「何が起こるか分からない」と期待を込めた。公演は8月。
KAATは県が設置し、指定管理者の神奈川芸術文化財団が県民ホールと一体で運営する公共劇場。
【神奈川新聞】