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【照明灯】「神聖喜劇」に込められた怒り

カルチャー | 神奈川新聞 | 2014年3月14日(金) 00:00

作家の三浦しをんさんが、古本屋さんでアルバイトをしていた時のこと。何人もの客が「神聖喜劇」を探しに来た。気になった三浦さんは後日、復刊された文庫版を読み始める。以来、その面白さに引き込まれて、文庫の新刊発売日に書店に駆け付けた

▼大西巨人さんの代表作「神聖喜劇」は400字詰め原稿用紙4700枚、文庫版5巻に及ぶ長編小説。ご自身の体験を下敷きに、旧陸軍の思想と体質を深く、鋭くえぐって、戦後文学の金字塔とされる

▼陸軍2等兵・東堂太郎が超人的記憶力と頭脳を武器に、軍隊にはびこるさまざまな不条理と戦う。時に哲学書、ミステリー、冒険小説の味わいがある。「軍隊で出されるおかずは大根ばかり」と書いた手紙は軍の機密漏えいにあたるか、といったくだりは爆笑もの。悪役・大前田軍曹ら登場人物も魅力的だ

▼新兵は教えられていないことでも「知りません」とは言えず、「忘れました」と答えなければならなかった。そこから東堂の思索は微細に、深く、軍の“無責任の体系”に迫る

▼大西さんの訃報が届いた。かつて軍隊で一番嫌だったことを問われ、「絶対服従」と答えた知の巨人。25年かけて書き上げた「神聖喜劇」には、人間性を圧殺するものへの怒りが込められている。

【神奈川新聞】

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