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稽古再開も手探り続く神奈川県内のアマ劇団

カルチャー | 神奈川新聞 | 2020年8月20日(木) 19:05

マスクやフェースシールドを装着しながら稽古に臨む「よっしゃ‼」の団員=横須賀市青少年会館
マスクやフェースシールドを装着しながら稽古に臨む「よっしゃ‼」の団員=横須賀市青少年会館

 新型コロナウイルスの影響で活動を制限していた県内のアマチュア劇団が、緊急事態宣言が解除された5月下旬以降、徐々に稽古を再開した。感染の再拡大で依然不安定な状況にある中、現場は感染防止に努めるなど手探りな状況が続く。一方、表現の喜びをかみしめる役者たちは、演劇の灯火(ともしび)を守ろうと思いを新たにしている。

演劇への情熱は絶やさない

 「もう一度やらせて下さい」。7月下旬の平日午後。60歳以上が参加する横須賀のシニア劇団「よっしゃ‼」の稽古場に、威勢のいいメンバーの声が響いた。「芝居は説明が多いとつまらない。むしろあまり話さない方が伝わることもあるよ」。壇上で演技する団員に向けて、代表の横田和弘が丁寧に指南する。

 宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を独自に解釈し、その先の話を創造するのがこの日の課題。「できるだけ接触を避けようと、朗読に近い形の芝居づくりを心掛けている」と横田は話す。

 コロナの感染拡大で、劇団は4月から2カ月以上、無料通信アプリ「LINE」のビデオ通話などで活動。7月に再開した対面での稽古は「コロナ前」とは一変した。マスクやフェースシールドを必ず装着し、体温チェックとアルコール消毒を欠かさない。両手を広げて互いに触れない距離を保つなどの感染対策を徹底する。

 この秋の公演を目標に週に2度の稽古に打ち込んできたが、県内で感染者が増加したことを受けて上演は中止となった。「稽古もいつまた休止となるか不安で仕方がない」。連日耳にする「3密」「クラスター(感染者集団)」の言葉が横田に重くのしかかる。

 県の共生共創事業で昨年8月に発足した劇団には30人が所属。ただの習い事と捉えず、本気で芝居に取り組むシニアの集団だと横田は自負する。台本に頼らない即興性を武器に、独自の色を定着させてきた中でコロナ禍に直面した。


リモートの稽古もこなす「よっしゃ‼」の団員ら=横須賀市
リモートの稽古もこなす「よっしゃ‼」の団員ら=横須賀市

 それでも、団員たちは前を向いているという。「公演中止は残念だけど、今この瞬間、皆が芝居に夢中になっている。演劇への情熱を絶やさないことが大切」と横田。リモートの稽古に戻すことも視野に入れつつ、活動の継続を目指す。

横須賀シニア劇団よっしゃ!!オフィシャルホームページ

「辞めるのは簡単だけど、、、」

 横浜市神奈川区を拠点に活動する老舗劇団「麦の会」もやはり、2カ月近く稽古を中断するなどコロナで多くの制約を受けた。

 戦後75年の節目、年明けから準備を進めていた戦時下が舞台の戯曲「夏の日の陽炎(かげろう)」は今年の上演を断念。「このコロナ禍、人が密集する防空壕(ごう)の中で泣いたり叫んだりする芝居はできない」と、代表の山口雄大は無念さをにじませる。


マスク姿で本読みをする劇団「麦の会」のメンバー=横浜市神奈川区
マスク姿で本読みをする劇団「麦の会」のメンバー=横浜市神奈川区

 稽古場の窓を開けきり換気を徹底するなど、感染防止に余念がない。コロナを逆手に取り、今の状況下だからこそできる作品を創ろうと意気込む。登場人物がマスクを着用する設定で進む喜劇をはじめ、団員で持ち寄ったショートストーリーを集めた「秋の大収穫祭」を11月に上演予定だ。

 「演劇という表現自体が『密』な上、飛沫(ひまつ)が飛ぶもの」だと、コロナ禍で活動することへの葛藤もある山口。一方、稽古を自粛していた間、演劇を志す若者のためにいつでも芝居ができる場を守っていきたいとの思いを募らせた。

 「辞めるのは簡単だけど、今いる劇団員のため、また、この先演劇をやってみたいと手を上げる人のために、できる限りこの稽古場を開いておきたい」

横浜 劇団麦の会

 コロナの収束が見通せない中、アマ劇団の試行錯誤が続く。

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