火災で焼損したり、戦争で破壊されたりした貴重な文化財を、東京芸大が開発した高精度な複製技術による「クローン文化財」として再現。伝統的な模写技術と最先端のデジタル技術に人の手や感性を取り入れたもので、オリジナルを超越した新たな価値を生み出す「スーパークローン文化財」として活用が期待されている。
会場には、法隆寺の金堂壁画やバーミヤン東大仏天井画などの再現、復元品約50点が並ぶ。中国の敦煌漠高窟(ばっこうくつ)は、観光客の増加で劣化が進んでいる。華やかな仏画や仏像が並ぶことから「美人窟」と呼ばれる第57窟の壁画を原寸大で再現した。
壁の質感を表現するための下地材を塗布した印刷紙に、高精細で撮影した画像を印刷。荒砂や石化粘土、わら、敦煌の土を混ぜて塗り付けた構造体に印刷紙を貼り付け、その表面に群青や朱などの絵の具を丁寧に塗って仕上げた。制作当初の姿で復元された如来坐像(ざぞう)と菩薩(ぼさつ)立像が、窟内の雰囲気を伝える。
※8月31日まで。会期中無休。一般500円。横浜駅東口徒歩5分。問い合わせは同館、電話045(465)5515。