洋画家・中川一政(1893~1991年)の「ことば」に焦点を当て、絵画や書、随筆、詩など91点を紹介している。
タペストリーの原画「鴛鴦(おしどり)」にオシドリの絵と共に書かれているのは、中国最古の詩集「詩経」に収められた「関雎(かんしょ)」からの引用。ミサゴ(雎鳩(しょきゅう))が川の中州で鳴き交わす姿を通して、周の王と王妃の仲むつまじい様子を詠んだもので縁起のよい詩だという。
一政は「見えない世界は詩歌では言葉と言葉の間にあり、絵画でいえば形と色の間にある。その見えないものをかくというのが絵画の第一義であろうと考える。私は今になって考えると、少年時代、詩歌になじんで少しずつこの見えない世界を会得したものとみえる」と書き残している。
一政にとって、創作と言葉が密接な関係にあったことがうかがわれる。
※28日まで前期、30日から9月13日まで後期展示。水曜休館。一般600円ほか。JR真鶴駅からバスで中川一政美術館下車。問い合わせは同館、電話0465(68)1128。