宮城県出身で写真を学ぶ大学生による東日本大震災の被災地の写真展が、厚木市飯山の東京工芸大学中央図書館で開かれている。震災直後から復興の様子までの一連の作品は、そのまま本人の心の動きを表してもいる。4月25日までで、入場無料。
同大写真学科2年の武川健太さん(20)。宮城県登米市出身で、仙台市内の高校に通っていた2年生のときに震災に遭遇した。
ボランティアが盛んな高校だったため、2週間後には被災地の同県南三陸町で活動。一面の惨状を目の当たりにし、「津波による被害だと信じられない、信じたくない思いだった」。
中学時代から鉄道写真家を目指しており、カメラを持参していたが「カメラを向けることが正しいことなのか」と自問。結局ファインダーをのぞけず、シャッターだけを押した。その後も、ボランティアとして繰り返し通った被災地で葛藤は続いたが、次第に「被災の現実を直視しなければ」と思い始めた。震災から1年半ほどたったころからは、得意のカメラを使い「今を冷静に記録することも大事」と撮影を重ねた。
現在は復興に向けて前向きに頑張る被災者を「写真で元気付けたい」との思いも込め、シャッターを切るという。
会場で展示しているのは計17点。震災直後の南三陸町の様子から、気仙沼市で捉えた1年後も曲がったままの鉄道のレール、そして今年2月に撮影した復興に向けて動きだす女川町など、被災から復興までの経過が分かるよう時系列に並べている。
最後には震災前に撮影したサクラのつぼみの写真がある。「やがて花は咲く。心も前向きに膨らんでいけば」と武川さん。今後も被災地を撮り続け、「最後は町ができて、生活も戻った様子を撮りたい」と復興に期待する。
午前9時10分から午後5時まで。日曜、祝日は休館。問い合わせは、同大中央図書館電話046(242)9501。
【神奈川新聞】