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【シネマ散歩】
【グレース・オブ・ゴッド】人生壊された被害者の苦悩

カルチャー | 神奈川新聞 | 2020年7月17日(金) 18:38


 17日からイオンシネマ港北ニュータウンとkino cinema横浜みなとみらいで上映中。

 フランスで現在も裁判が続いている聖職者による未成年者への性的虐待事件を真摯(しんし)に描き、ベルリン国際映画祭で最高賞次点の銀熊賞を獲得した人間ドラマ。過剰な演出をせずに、人生を破壊された被害者らの苦しみを淡々と示し、社会に問題提起している。

 妻子とリヨンで暮らすアレクサンドル=写真=は、幼少期に自分を性的虐待したプレナ神父が、今も子どもたちの近くで活動していることを知る。「君も触られた?」と尋ねる友人の言葉から、被害に遭ったのは自分だけではないと確信。30年以上前の出来事を告発しようと決意する。

 アレクサンドルの行動は、一人で悩み続けた者や最初は関わりを否定した者らを動かす。互いに存在を知った彼らは、裁判に向けて被害者の会を結成し、マスコミに訴える。

 20年、30年と長い時間を経ても、精神的な傷は生々しく残る。家族の理解が得られない場合もある。虐待という暴力が、彼らの人生に及ぼした影響は大きい。プレナ神父の被害者は80人以上になるという。

 一方、「病気なんだよ」と悪びれないプレナ神父や、責任問題を逃れようとする教会のトップらには、腹立たしいばかり。同様の問題は映画「スポットライト 世紀のスクープ」でも取り上げられた。ローマ法王は隠蔽(いんぺい)体質の改善に取り組んでいるが、根深い問題だ。

監督・脚本/フランソワ・オゾン
製作/フランス、2時間17分

 
 

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