トロンプルイユ(だまし絵)で知られる洋画家・岩田栄吉(1929~82年)は、生涯にわたって銅版画家・長谷川潔(1891~1980年)に私淑した。長谷川独特の静かなたたずまいに満ちた銅版画や、鳥や人形といった共通するモチーフに着目した各自の作品など29点が並ぶ。
二人が出会ったのは1958年、共に拠点としたパリでのこと。岩田は29歳、長谷川は67歳だった。長谷川が岩田に渡した銅版画制作用具のメモや避暑先で歓談する様子を捉えた写真などが交流ぶりを伝える。
岩田は試作に取り組んだものの、銅版画の道には進まなかった。だが、晩年の長谷川を私生活の面で支えたという。長谷川の葬儀での弔辞リーフレットやフランスでの追悼展開催に向けた書類などの資料も展示し、二人の関係性に迫っている。
※8月10日まで。火曜休館。一般500円。横浜駅・桜木町駅などからバスで本牧元町下車。問い合わせは同館、電話045(629)1150。