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夏目漱石に関する新収蔵品 神奈川近代文学館で展示

カルチャー | 神奈川新聞 | 2020年7月9日(木) 13:31

「紫陽花」に見入る来場者=神奈川近代文学館
「紫陽花」に見入る来場者=神奈川近代文学館

 妻の朝寝坊をたしなめる手紙など明治の文豪、夏目漱石(1867~1916年)に関する新収蔵品を紹介する「文学の森へ 神奈川と作家たち展」が、神奈川近代文学館(横浜市中区)で開催されている。インクの跡が生々しい書き損じの反故(ほご)原稿も並び、創作の苦しみが伝わってくる。

 同館では漱石の没後100年を記念して2016年に開催した展覧会をきっかけに、遺族や収集家からの寄贈・寄託品や購入品など漱石に関する資料580点を新たに収蔵した。

 その中から約20点を選び前期(8月6日まで)、後期(8月7日~9月27日)に分けて、森鷗外や国木田独歩、萩原朔太郎らのレプリカを中心とした原稿や書簡などを紹介する「神奈川と作家たち展」の一角で展示している。

 書画を好んだ漱石だが、自ら手掛けた油彩画は現存数が少なく珍しい。油彩画「紫陽花」は1913(大正2)年ごろ、洋画家の津田青楓(せいふう)の指導を受けながら板に描いたもので、青磁の花瓶に挿した青いアジサイの花を丁寧に描いている。

 同館の野見山陽子学芸員は「青楓は鉛筆の下描きをなるべく正確に描くようにとか、影の色の出し方などを細かく指導した。いかにも初心者らしい絵だが、一生懸命描いていることが伝わってくる」と話す。


推敲の跡が見える反故原稿
推敲の跡が見える反故原稿

 青楓は「道草」や漱石の絶筆となった「明暗」の装丁を手掛けたが、その両作品の反故原稿からは執筆の苦悩が生々しく伝わる。「明暗」は新聞連載していたもので、漱石のストレスは相当だったようだ。第8回の冒頭の反故原稿には推敲(すいこう)の跡があり、垂れたインクで紙に穴が空いている。裏には筆で漢詩をつづっており、こうした習字や水彩画を描くことで執筆の疲れを癒やしていたという。

 家庭人としての姿がうかがわれるのは、留学先の英国ロンドンから02(明治35)年に妻の鏡子宛てに出した手紙。「小児の教育上にもよろしからざる結果ありと思ふ」と、鏡子の朝寝坊を改めるように延々と書き連ねている。


漱石宛ての絵はがき
漱石宛ての絵はがき

 「吾輩は猫である」の雑誌連載当時、漱石に送られた猫の絵はがきも展示している。英国で交流があった横浜商業高校卒業生の渡辺和太郎からの絵はがきは、満月と2匹の黒猫。自分宛ての手紙はすぐに処分するのが常だった漱石だが、絵はがきは取っておいたという。折々に取り出して鑑賞したであろう姿がほうふつとされる。

 9月27日まで。祝日を除く月曜休館。一般260円、20歳未満と学生160円、65歳以上110円、高校生100円。問い合わせは同館、電話045(622)6666。

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