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海底に眠る戦争の跡 記念艦三笠でパネル展

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年11月12日(月) 11:06

海底に眠る艦船や航空機の姿を通し、「平和について考えるきっかけにしてほしい」と語る戸村さん=記念艦三笠
海底に眠る艦船や航空機の姿を通し、「平和について考えるきっかけにしてほしい」と語る戸村さん=記念艦三笠

 太平洋戦争で撃沈され、今も海底に眠る旧海軍の艦船や航空機などを撮り続けている水中写真家・戸村裕行さん(36)=埼玉県草加市=が、記念艦三笠(横須賀市稲岡町)で個展を開いている。世界各地に朽ちた姿で残る戦争の爪痕を60枚のパネルにして紹介。作品を通じ、戸村さんは「同じ悲劇を起こしてはいけない」と訴えている。

 旧海軍を代表する戦艦「長門」はマーシャル諸島・ビキニ環礁の水深50メートルで小さな魚のすみかになり、横須賀海軍工廠(しょう)で建造された戦艦「陸奥」は逆さまのような状態で山口県柱島沖に沈む。大型飛行機の操縦席まで潜って見えた景色は、たくさんの小魚が泳ぐ様子だった。

 「群青の追憶」と題した写真展では、太平洋の14エリアに沈んでいる艦船45隻、潜水艦2隻、航空機18機の姿を展示、戦争の空虚さを静かに伝えている。

 戸村さんが被写体として海底に残る“戦争の跡”を追い掛け始めたのは8年ほど前。趣味のダイビングで潜った沖縄の海で、米国の駆逐艦を目にしたのがきっかけだった。

 艦体には、特攻隊の体当たりで空いた穴が生々しく残っていた。それ以来、旧軍に関係する艦船や航空機が沈む世界各地の海に足を伸ばすようになった。

 「多くの方が犠牲になった船にカメラを向けるのは不謹慎と指摘する方もいる」と明かす戸村さんは、続ける。「でも一番いけないことは、『忘れられること』。世界にこれだけの数の艦船が沈んでいることを知り、平和について考えてほしい」と願っている。

 会場では、戦艦だけでなく、貨物船などの徴用船の写真も掲示。船内にそのまま残る船会社のマークが付いた皿や消しゴム付きの鉛筆などが、船員たちの日々の様子を想像させる。

 写真展は来年1月31日まで、三笠の観覧料(一般600円)が必要。今月18日には艦内で戸村さんのトークイベントも開かれる。問い合わせは、三笠保存会電話046(822)5225。

 
 

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