
鎌倉市にスタジオを構える異色のジャズダンサー柏木みどりが、日本舞踊やモダンダンスの要素を取り入れた新作を、29日に同市大船の鎌倉芸術館で上演する。オリジナルの「スーパー日舞」で評価を得ている舞踊家の花園直道と共演し、舞台を豪華に彩る。
柏木は6歳から日本舞踊を習い柏木流の名取となった後、ジャズダンサーへと転向。日舞の経験に基づく優美な手先の動きを洋舞に融合させ、妖艶な雰囲気を身上とする。昨年秋には、かつてダンス留学した米ニューヨークでの5度目の公演を成功させた。
花園を迎えた本作は、これまで描いてきた「女の情念」から一転、3部作の第3部「般若」では、男の情念をテーマにする。
「好きな女性に気持ちを受け入れてもらえない悩みが、苦しみ、そして恨みに変わる。そういう男の思いを込め、パートナーの力を引き出したい」。和洋の幅広い経験を背景に、柏木はその狙いを説明する。
ストーリーに加え、振り付けも全て自ら手掛けている。「音楽を選び、共演者と顔を合わせて練り上げた。完成するまでは頭がパニック状態だった」と苦笑しながら振り返る。「般若」はロック調の三味線を伴奏に、アップテンポな踊りを繰り広げるという。
第1部は米ブロードウェーミュージカルの名作「ウエストサイドストーリー」をモチーフにした「ダンサー」。山本裕、藤村港平、鈴木遼太の3人が、不良グループの争いの場面を再現する。第2部「ラストダンスは貴女と」はタンゴを用い、柏木、花園ら5人による軽快なジャズダンスで男女の駆け引きを描く。
「1年を費やして共演者をはじめ衣装、物語、音楽、振り付けなどを作り上げた」という柏木独自の舞台。「優雅さと華々しさを見てほしい」と話す。
午後7時開演。前売り4500円。鎌倉芸術館チケットセンター電話(0120)119240。