翻訳出版目指しクラウドファンディング サウザンブックス社、31日まで支援募る
メキシコ生まれの真っ黒な美しい本
カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年10月23日(火) 15:17
目の不自由な少年の視点に立ち、色を五感で捉え表現したメキシコの絵本「色についての黒い本・仮」(原題・El libro negro de los colores)の翻訳出版を目指し、サウザンブックス社(東京都)がクラウドファンディング(CF)で費用を募っている。
真っ黒な紙に銀色の文字をはじめ、光沢のある透明なインクの隆起によって描かれたイチゴや葉っぱなどのイラスト、点字のような文字で書かれた文章が施されている本書。著者のメネナ・コティンさんが、目の不自由な人がどのような感覚で色を捉えているか想像を広げて手掛けた。
「黄色はマスタードの味。でも、ひよこの羽の手触り」「赤は、イチゴみたいに酸っぱくて、スイカみたいに甘い」。本文中で語るのは、目の見えない男の子トマス。一つの色を視覚だけではなく、手の感触や味覚でも感じ取ることができるという豊かな感性に満ちた世界を教えてくれる。
2006年の発行以来、欧州や韓国、トルコなど14の言語に訳されている。サウザンブックスの担当者は「ページをめくると感じられる美しい加工と、違う立場の人が互いについて想像してみるというテーマがこの本の魅力」。今回のCFで日本での出版を実現させたいと話している。
31日まで支援を受付中。詳細は同社のウェブサイト(https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2416)で。