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「横浜オラトリオ協会合唱団」90年 戦争中も歌うこと諦めず

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年10月9日(火) 11:02

90周年を迎えている「横浜オラトリオ協会合唱団」の練習風景=横浜市神奈川区
90周年を迎えている「横浜オラトリオ協会合唱団」の練習風景=横浜市神奈川区

 創立90周年を迎えたアマチュア合唱団「横浜オラトリオ協会合唱団」が来月18日、記念公演を横浜市西区の横浜みなとみらいホールで開く。戦争中も歌うことを諦めなかった先人たちの思いを脈々と受け継ぎ、音楽好きの市民が横浜にハーモニーを響かせている。

 生まれは1928年。市内の日本人牧師らが中心になり、教会で歌う以外にも宗教曲をコーラスできる環境をつくろうと、合唱団を立ち上げた。

 現在はキリスト教徒に限らず、合唱に興味がある30~90代の男女約80人が参加する。同団に60年近く在籍する中島恭子さん(81)=鎌倉市在住=は、「メンバーが10人ほどになってしまって存続が危ぶまれたときもあったけれど、歌うことが好きな人にとってはこの団が、人生の中で大切な息抜きの場になっている。続けてきて本当によかった」と笑顔を見せる。

 90年の間には、第2次世界大戦も勃発した。戦争中は英語の使用が禁止されていたため団名は横文字から「横浜頌美(しょうび)協会」に変更し、電球に黒い紙をかぶせながら、薄暗い部屋で楽譜を見つめて練習を続けてきたという。

 戦時中の経験を伝え聞いてきた中島さんは、「平成は戦争も無く平和な時代だったからこそ音楽が存分にできた。これからも歌が安心して歌える世の中であってほしい」と切に願う。

 記念公演では、ドボルザークの「スターバト・マーテル」をオーケストラの生演奏とともに披露する。毎年1度の定期演奏会は、千人以上の観客が訪れるなど、同団の歌声は市民を癒やしてきた。

 指揮者としてメンバーを指導するフェリス女学院大音楽学部教授の星野聡さん(57)は、「若い人を集めることが合唱団の存続には大切だけれど、今いるメンバーが3年後も輝いていけるように、100周年に向けても大切に練習を積み重ねていきたい」と話している。

 公演は午後2時開演、1500円(全自由席)。問い合わせは、同団電話080(1012)6183。

 
 

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