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日本将棋連盟指導棋士五段、本紙将棋担当記者
将棋のはなし(74)八王子将棋クラブ閉店の報

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年9月13日(木) 13:29

【2018年9月9日紙面掲載】

 小学5年で本格的に将棋を始め、最初に行った道場は「厚木王将」だった。奨励会に入るまで毎週のように通い、腕自慢のおじさんたちに鍛えていただいた。

 少し強くなると、いつもと違う人と対戦したくなり、相手を求めて県内各地を巡った。唯一、都内で足を運んだのが「八王子将棋クラブ」。ここには引きつけられる大きな魅力があった。

 それは「羽生善治の出身道場」ということ。羽生先生は19歳で竜王を獲得し、どんどんタイトルを増やしていたころである。そのスターが育った場所は、将棋を指す少年少女の憧れだった。

 さらに、当時としては画期的な「全面禁煙」を実施していたことで保護者の評判もよく、子どもの多さが際立っていた。

 私が行くのは年に数回だったが、1度だけ運よく羽生先生の指導を受ける機会を得た。二枚落ち(飛車、角抜き)のハンディ戦ながら勝てたことは自信になった。

 先日、その八王子将棋クラブが年内いっぱいで閉店するという話を聞き、衝撃を受けた。

 ビルの老朽化と席主の健康状態が理由というから、やむを得ないのだろう。しかし羽生先生の他に中村太地王座、阿久津主税八段、甲斐智美女流五段ら、多くの棋士が育った名所がなくなるのはたまらなくさみしい。

 思えば将棋道場もずいぶん減った。これも時代の流れだから仕方ないと思うが、今の将棋ブームで少しでも盛り返してほしいものである。

 
 

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