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樹齢100年の流木で仏像制作 神奈川県美術展に大作が入選 三浦の料理人が偉業

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年9月10日(月) 12:12

流木を使った大作を完成させた山田さん=県民ホールギャラリー
流木を使った大作を完成させた山田さん=県民ホールギャラリー

 三崎港近くで飲食店を営む山田芳央さん(70)の制作した木彫りの大作が、県内最大規模の公募展「神奈川県美術展」で入選した。三浦市内の海岸に漂着した流木と向き合い、浮かんだイメージに従って、180以上の仏神を彫った。山田さんは「新たな姿でよみがえった流木が発するパワーを感じてほしい」と話している。

 入選作品「曼陀羅(まんだら)ぼっち」は高さ1・2メートル、横幅2・8メートルで、重さが約800キログラムある大作だ。表面に菩薩(ぼさつ)や観音などの仏神を数多く彫り、鍾乳洞をイメージして空洞になっている木の中に陶器の仏像を置いた。

 山田さんは幼い頃から、絵画や版画が趣味だった。40年ほど前、流木や朽ちた木の形を生かした作品を残した江戸時代の仏師・円空の存在を知り、仏像制作に興味を持ち、独自で腕を磨いてきた。

 今回の流木との“出会い”は18年前。剱埼灯台(同市南下浦町松輪)付近の海岸に流れ着いていた流木を知人が見つけ、持ち帰った。樹齢100年以上と思われる大木を目にした山田さんは「どうしても、この木で仏像を制作したいと思った」。

 ただ実際、制作に取り掛かったのは2年前。「見せてもらった当時は、『これだけの大木を彫り上げる力量が自分には備わっていない』と思った」。アジア各国の寺院や遺跡を巡って彫り方を学び、木や石、陶器などで練習を重ねた。

 いざ、制作へ。「円空ならどう彫るか」を念頭に、木と向き合い、浮かんだイメージに従って彫り進めた。山田さんは「木のこぶや、穴が開いた箇所は形をそのまま生かし、流木自体がなりたいものを彫った」と説明する。完成した作品を応募したところ、入選した29点の立体作品の一つに選ばれた。

 山田さんの本業は料理人。マグロのさまざまな部位を生かし、オリジナルメニューを考案しては、「くろば亭」(同市三崎)で提供している。「素材の持つ魅力を引き出す点では、料理も彫刻も相通ずる」と山田さん。「料理だけでなく、作品からもパワーを受け取ってもらえたら」と笑った。

 山田さんの作品は16日まで、県民ホールギャラリー(横浜市中区)で展示されている。入場無料。問い合わせは、同ホール電話045(662)5901。

 
 

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