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子どもを描き平和願う 「いわさきちひろ、絵描きです。」展

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年8月30日(木) 02:00

「小犬と雨の日の子どもたち」(1967年、ちひろ美術館蔵)
「小犬と雨の日の子どもたち」(1967年、ちひろ美術館蔵)

 愛らしい子どもたちを描いた夢のある画風で人気のいわさきちひろ(1918~74年)。東京・丸の内の東京ステーションギャラリーで開催中の「いわさきちひろ、絵描きです。」展では、子どもを通して多様な感情を表現しようと、さまざまな技法に挑んだことが分かる。

 恵まれた家庭環境や少女期に心引かれた文化的背景の紹介、画家となって手掛けた絵本原画など、作品や資料約200点が並ぶ。

 注目したいのが、ちひろの人生に戦争が大きく影を落としていたことだ。太平洋戦争時は22歳。女学校教師の母が、満蒙開拓団への花嫁を集める大陸の花嫁事業に関わっており、ちひろも花嫁たちに習字を教える先生として満州へ。

 開拓民たちの悲惨な生活や土地を奪われた中国人の苦しみを目の当たりにしたちひろは、心身を病んで帰国。1945年の東京大空襲では、妹と手をつないで逃げ惑ったという。

 両親の故郷・長野へ疎開したが、戦後、家出のように東京へ。「人民新聞」に入社し、記事も挿絵も描ける記者として奮闘した。会場には戦争孤児に取材した記事が展示されている。

 後に、こうした自身の体験とベトナム戦争下の子どもたちを主題に、絵本「戦火のなかの子どもたち」を描いた。鉛筆のラフな線や墨のにじみは、不安な心情や荒廃を感じさせる。ぽつんと取り残された子どもの姿が、平和を強く訴えかけてくる。

 同展の監修に関わり、今年4月に亡くなったアニメ映画監督の高畑勲によるインスタレーションは、そうしたちひろの作品を拡大したもの。絵の中に入っていくような感覚が味わえる。

 カラフルな水彩画の「小犬と雨の日の子どもたち」を拡大すると、計算された絵の具のにじみが、繊細で美しいグラデーションをなしている様子や、子どもに向けられたちひろの優しいまなざしがよく分かる。と同時に、小さな画面に込められた活力の大きさに、改めて驚かされる。

 9月9日まで。8月27日休館。一般千円、高校・大学生800円。問い合わせは同ギャラリー電話03(3212)2485。

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