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明治150年、分野超え交差する熱量 県立歴史博物館「真明解 明治美術」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年8月22日(水) 18:14

多様な作品を通して明治の美術に迫る会場=県立歴史博物館
多様な作品を通して明治の美術に迫る会場=県立歴史博物館

 明治元年から今年で150年となることを記念し、美術の側面から明治時代の特徴を浮き彫りにする展覧会「真明解 明治美術」が、県立歴史博物館(横浜市中区)で開催中だ。和洋の文化が混じり合い混沌(こんとん)とした中で、新しい表現や技術に挑む時代の熱気と勢いが感じられる。

 200点以上の作品が並ぶが、分野を超えて交差する明治の美術を象徴的に表すのが最初の展示室だ。

 初代宮川香山が横浜に窯を構えて海外に輸出した眞葛焼や荒廃した江戸城を撮った写真、五姓田(ごせだ)派の洋画家、五姓田義松が臨終の母を描いた「老母図」、色鮮やかな錦絵を収めた画帖(がじょう)が並ぶ。

 この画帖は、横浜市戸塚区の高級洋食器メーカー大倉陶園の創始者、大倉孫兵衛が版元業を営んでいた頃に仕立てたもの。保存状態がよく、このほど同館に寄託され、初公開となる。多色刷りの木版をはじめ、銅版や石版などの印刷技術が発展したのは明治期だった。

 日本画家の鏑木清方が下町情緒あふれる夏の一日を描いた絵巻「朝夕安居」も同室に並ぶ。朝の井戸端に集まり、夕べには縁台で涼む画面の人々は、明治文化を享受した市井の人々に他ならない。

 序章となる部屋を出て展示が進むにつれて、南画、石版画、銅版画、水彩画、鎌倉彫、地図などの多様な作品が広がる。見方によっては雑多な印象や不協和音を感じるかもしれない。だが、同館の角田拓朗主任学芸員は「それこそが明治という時代状況だった」と語る。

 そもそも「美術」という言葉は、明治期の造語だという。角田学芸員は「これは美術ではないと切り捨ててしまうと、明治という時代の全体像を見誤ってしまう。展示を見て、美術って何だろう、もしかしたら分かっていないのかも、と感じてもらえれば」と来場を呼び掛けた。


 9月30日まで。祝日を除く月曜休館。展示替えあり。一般900円、20歳未満と学生600円、65歳以上200円、高校生100円。問い合わせは同館電話045(201)0926。

 
 

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