海水浴を楽しむ夏休みを迎え、第3管区海上保安本部(横浜)は、海水浴場以外の場所で遊泳しないよう呼び掛けている。特に遊泳者を沖へと流す「離岸流」に注意を促している。
海上保安庁がまとめた全国の過去5年間の累計によると、事故に遭った遊泳者1153人のうち、56%にあたる642人が海水浴場以外の場所で泳いでいた。
海水浴場外では監視員やライフセーバーが常駐していないため、溺れたり、沖に流されたりしてもすぐに救助できないことがある。そのため、担当者は「海水浴場以外では死亡や行方不明の事故につながりやすい」と強調する。
海での事故の要因として特に遊泳者に注意喚起しているのが離岸流だ。海岸から沖に向かう強い流れで、岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する。流れの速さは競泳選手並みの最大秒速2メートルになることもあるという。
離岸流による遊泳中の事故は過去5年間の全国累計で174人。そのうち18%に当たる31人が死亡・行方不明になった。県内でも事故は発生している。2016年8月には小田原市内の海水浴場以外の海岸で遊泳中の20代男性が離岸流で沖に流され、溺死した。
防波堤がある場所など海水浴場以外の場所で発生しやすいが、「どの海岸でも発生する可能性がある」と、担当者は警鐘を鳴らす。
海保は、遊泳中の注意事項や、溺れてしまったときの対処方法を分かりやすくまとめた「ウォーターセーフティガイド(遊泳編)」をホームページで公開。横浜海上保安部は人気ゲーム「ポケットモンスター(ポケモン)」のキャラクター「ピカチュウ」を登場させたポスターを作製し、子どもたちに注意を呼び掛けている。