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「横浜ローザ」、今年も上演へ 生き続けた意味追う

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年7月28日(土) 12:18

昨年の公演で「ローザ」を熱演した五大路子さん(五大さん提供・藤間久子さん撮影)
昨年の公演で「ローザ」を熱演した五大路子さん(五大さん提供・藤間久子さん撮影)

 庶民の日常を狂わせる戦争の意味を、一人の生き方に重ねて問う横浜ゆかりの俳優五大路子さんの舞台「横浜ローザ」(杉山義法作、大西一郎演出)が今年も、終戦の日を前に横浜で上演される。戦後の繁華街に立ち続けた白塗りの娼婦(しょうふ)をモデルにした一人芝居。「人生を踏みにじられながらも生き続けた人間の姿を演じたい」

 モデルは、顔を白く塗り戦後間もない横浜の伊勢佐木町や馬車道で米軍将校を相手に体を売ったという「メリーさん」。本作には広島の原爆で肉親を失ったことや、戦後、雨露をしのいでいた防空壕(ごう)で米兵に暴行されたことなど、創作も多く加わる。

 ローザを演じて、はや20年以上。3年前には米ニューヨーク公演を実現し、近年は五つの大学でこの作品を題材に学生と議論を重ねるなど、その活動は広がっている。その中で「心に刺さった言葉」がある。ある女子学生の質問だ。

 「なぜ、ローザは死ななかったんですか」

 過重労働や貧困など生きづらさを抱え自死する人たちがいる現代の視点からは、家族や尊厳を奪われながらも生きることを諦めなかった戦後のローザが、不思議だったのだという。

 「だから、今回はその問いへの答えも込めて演じようと思う」。近年は、時代背景を若者や外国人に理解してもらうため映像や音響効果を多用したが、今年はあえてシンプルにする。

 「その方が俳優としては怖い。でも、だからこそ表現できることがある」。特異な事例でなく、誰にでもあり得た境遇。絶望を味わった市井の人々の「居場所」を取り戻すためにも、五大さんは演じる。

 8月11~15日、会場は横浜市中区新港の横浜赤レンガ倉庫1号館。前売り料金は一般5千円、学生3千円など。問い合わせは、横浜夢座事務局電話045(661)0623。

 
 

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