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丹念に演じる人間模様 劇団民芸、26日から稽古場公演

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年7月26日(木) 18:08

「舞台は成功した場合、『自分たちがやり遂げた』という充実感を得られる」と話す西川明(左)と飯野遠=劇団民芸
「舞台は成功した場合、『自分たちがやり遂げた』という充実感を得られる」と話す西川明(左)と飯野遠=劇団民芸

 劇団民芸(川崎市麻生区)が、26日に始まる稽古場公演に向けて岸田国士(くにお)の作品に取り組んでいる。上演するのは「結婚」にまつわる戯曲。45年前の入団以降、初演出を務める西川明(71)の指導のもと、単純なせりふに潜む人間の奥深さを丹念に演じる。

 「頼母(たのも)しき求縁」「葉桜」「紙風船」の3本立て。型破りな男が現れる見合い現場や、結婚の決断に悩む娘と母の揺れ動く心情、漫然と日々を過ごす結婚1年目の夫婦の姿を喜劇として描く。

 民芸といえば社会派のテーマを扱うことが多いが、今回は少し毛色が異なる。作品の発案者で紙風船の妻役を演じる飯野遠(おん)(37)によると、岸田作品は複数の劇団で演じられており、「少人数で丁寧に言葉を紡ぎ出していくのが特徴。民芸の若い役者もこういう基本ができないといけないな、と思ったんです」。

 改めて読み進めると、さりげないせりふの中にさまざまな意味や解釈が含まれていることに気付き、その奥の深さに魅了された。

 「単純なせりふ回ししかなくても面白い芝居。それをこの作品でも意識している」と西川は話す。何げない表情や独特の間でそのおかしさを醸し出す難しさに直面しつつ、俳優たちも日々の稽古に汗を流している。


見合いの席が舞台の「頼母しき求縁」の稽古風景=劇団民芸の稽古場
見合いの席が舞台の「頼母しき求縁」の稽古風景=劇団民芸の稽古場

 1950年創立の民芸が東京・青山から麻生区黒川に拠点を移したのは82年。稽古場を増設した93年に「お披露目の集い」を催し、2年後に沖縄ひめゆり部隊の証言を構成した朗読劇を披露。これが稽古場公演の本格的なスタートとなった。本公演よりも低価格で気楽に芝居を楽しんでもらおうと、毎年1、2回の頻度で開催している。

 特徴はなんといっても観客席から舞台までの近さ。「俳優の目の動きからしぐさまで、細かいところまで見られますから」と笑う西川。「映画だと画面に映らない役もいるけど、演劇は全部見えちゃうからね。終わりまで全く気が抜けない」。それが演劇ならではの魅力であり、劇団員たちの確かな充足感にもつながる。

 子離れできない母親の複雑な心理や夫婦のあり方など、現代にも通じる感情や問題が描かれる本作品。飯野は「どの世代の人が見ても、どこかに自分の経験を重ね合わせられると思う。『あるある』と感じてもらえるといいですね」と話している。

 公演は26~30日。一般2500円、学生1500円。26日午後6時、28日同0時半と同4時半、29日同4時半からの各公演に空席あり。稽古場は京王線若葉台駅から徒歩5分、小田急線黒川駅から徒歩8分。上演時間などの問い合わせ、チケット申し込みは劇団民芸☎044(987)7711。

 
 

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