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市民と劇団員が一体に 宮沢賢治の童話世界 「かわさき演劇まつり」14・15日に

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年7月9日(月) 10:22

かわさき演劇まつりに向け、稽古に励む出演者 =川崎市幸区古市場
かわさき演劇まつりに向け、稽古に励む出演者 =川崎市幸区古市場

 市民による演劇の祭典「かわさき演劇まつり」が14、15日に川崎市多摩区の多摩市民館ホールで開かれる。今年は、宮沢賢治の三つの童話を一つの台本にまとめた作品を上演する。市内の3劇団の劇団員、公募で集まった市民ら計約30人は、親子で楽しめる舞台にしようと夜遅くまで稽古に励んでいる。

 「そういう細かい動作にも裏付けがあるんです。丁寧にやっていきましょう」「だいぶ面白くなってきましたよ。早く子どもたちに見せたいね」

 幸区古市場の稽古場。平日午後6時半から始まった稽古は午後9時を過ぎて、さらに熱を帯び始めた。演出家で劇作家の大西弘記さん(40)=TOKYOハンバーグ主宰=の身ぶりを交えた演技指導に役者たちがうなずく。

 3月から顔合わせを始め、4、5月は週3回、6月は週4回の稽古を重ねてきた。京浜協同劇団など市内の劇団員10人、公募で集まった市民ら20人の息もそろっている。小学1年生の男児から84歳の女性劇団員まで、いい舞台を観客に見せたいという一体感があふれ、稽古場に心地よい緊張感がみなぎる。

 演劇まつりは同実行委員会と市文化財団の主催。市民に安く質の高い芝居を提供するとともに、市内劇団の育成を目的に市が助成し、1972年から毎年開かれ、2001年以降は隔年で続いている。

 「演劇まつりは長く続いているが、参加する劇団メンバーの高齢化もあった。若い力を得たいと思っていたところ、新進気鋭の演出家である大西さんに出会った」と京浜協同劇団事務局長で実行委員会制作担当の柳沢芳信さん(61)。大西さんが川崎在住と知り、演出を依頼。快諾を得た。4年前から演劇まつりに関わってきた脚本家の丸尾聡さん(54)と大西さんが旧知の仲だったこともあり、脚本は丸尾さんが引き受けた。

 宮沢賢治の「注文の多い料理店」「どんぐりと山猫」「氷河鼠の毛皮」を中心に賢治作品のエッセンスが詰め込まれた舞台だ。「不思議な童話宇宙の世界。各シーンの裏付けが大事です。それぞれの役者がどのように思っているのか、コミュニケーションを重視してきました」と大西さん。「演技に上手、下手があってもいい。演劇まつりですから、一般の方が入った方が新鮮。毎日が驚きと感動の連続です」と演出を楽しんでいる。

 59年の歴史を持つ京浜協同劇団創立メンバーの若菜とき子さん(84)は「演劇は私の生活の一部。年の差なんて芝居には関係ないわ」と意気盛ん。公募で参加した高校3年生の宮森紅安さん(18)は「脚本を読み、皆さんが自分の意見をはっきり言うのに刺激を受けました。私たち演技者も観客も気持ちがつながる芝居にしたい」と本番に向けてボルテージを上げていた。
           ◇
 14、15日とも午前11時と午後3時から。申し込み、観覧料などの問い合わせは、かわさき演劇まつり実行委員会電話044(511)4951。


出演者の稽古を見つめる演出家の大西弘記さん
出演者の稽古を見つめる演出家の大西弘記さん
 
 

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