
ジェームス・ビッドル司令官率いるアメリカ東インド艦隊の1846年の浦賀来航に関するエピソードを紹介する講演会が3日、住友重機械工業浦賀工場内(横須賀市浦賀)で開かれた。浦賀歴史研究所の山本詔一所長が江戸幕府の対応やビッドル来航が与えた影響などを解説した。
5代目司令官のビッドル率いる艦隊が来航したのは1846年7月。10代目司令官のマシュー・ペリーが開国を迫る7年前で、日本で初めて異国の軍艦の来航だった。
山本所長は、ビッドルが病気になった公使の代役で来日したことや、軍艦2隻に装備された大砲の多さなどを説明。江戸幕府は江戸湾の警備を強化する傍ら、艦隊が必要とする飲料水や食糧などを提供する「プレゼント作戦」に徹したことなども紹介した。
ビッドル来航について、山本所長は「浦賀奉行所が情報を一元化したペリー来航時と比べ、自由に軍艦を見られたため、多くの記録が残っているのが特徴。全国にも伝わった大事件だった」と説明。「異国船に対する日本の認識はペリー来航で一変したのではなく、ビッドルなどの来航が日本社会を大きく前進させることになった」と締めた。
講演会は3回連続の講座で、最終回の3日には約90人が参加した。