「コピーバンドではなく、自分たちの曲を作ったら…」。紅白歌合戦に出場し、7月28日には地元・川崎の等々力陸上競技場(中原区)初のライブを行う3人組ロックバンド「SHISHAMO」を生んだ市立川崎総合科学高校(幸区)軽音楽部顧問の菊田直史教諭(45)は在学中、彼女たちにそう指導した。菊田教諭がその指導法や思いを、同2日、かわさきFM(79・1MHz)の番組「ミュートンキャンパス」で語る。
SHISHAMOは2010年、同部所属のメンバーで結成され、在学中から全国ツアーを行い、13年にCDデビュー。昨年、サッカーJ1川崎フロンターレのサポーターを描いた、NTTドコモのCM曲「明日も」が話題になった。
21年間、同部の顧問を務めている菊田教諭は「自分もバンドをやっていたが『あの時こうしておけばよかった』との思いから、ある程度の技量がついたバンドには、オリジナルの曲を作るよう指導している。あの子たちは、他とは違った。曲は突出していて、作るのも早かった」と振り返る。
ティーンズロック全国高校生アマチュアバンド選手権の応募用に作った曲を、菊田教諭は音楽仲間が集まる、いきつけの梶が谷(高津区)にあるとんかつ店で自慢げに仲間に聞かせた。これが音楽関係者の耳に留まり、デビューへとつながっていったという。「才能があり、本当によく練習している。周りを引き込む力もある」と感嘆する。
番組は「音楽のまち・かわさき」推進協議会が、市内の小中高校の吹奏楽や合唱など音楽系部活動を盛り上げようと4月にスタート。「他の学校でも練習のヒントや励ましになれば」(同協議会担当者)とゲストの顧問に指導の方針やこだわりの練習法などを聞く。毎月第1月曜の午後5時20分から30分間の生放送。最も影響を受けた曲や生徒にお薦めの1曲を紹介しながら、菊田教諭は軽音楽部の生徒にもアドバイスやメッセージを送る。