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辻仁成がウェブマガジンを創刊 「人生をともに考える」 書き手にはサッカー・岡崎も

カルチャー | 神奈川新聞 | 2016年10月21日(金) 10:00

ウェブマガジン「デザインストーリーズ」を立ち上げた作家の辻仁成さん
ウェブマガジン「デザインストーリーズ」を立ち上げた作家の辻仁成さん

 芥川賞作家の辻仁成(57)が21日、自らが編集長を務めるウェブマガジン「デザインストーリーズ」を立ち上げた。「自分に合ったプラットホームを持ちたい」と5年ほど前から構想を練っていたと言い、読み手が人生の未来予想図を描く際の気づきになればと思いを込める。サイトでは、専門職に就き世界で奮闘する日本人が、その冒険の中で得た感覚などをライターとして執筆。編集部は辻が拠点を置く仏パリと東京に置き、辻は欧米やアジアなど各地に取材に出向き、無料配信していく。

 「トップストーリーズ」「9(ナイン)ストーリーズ」「パノラマストーリーズ」「アナザーストーリーズ」と四つのセクションに分かれたサイトは、モノクロの世界。気になるブロックをクリックすると、白黒だった画面が、一瞬で色づく仕掛けだ。小説のページをめくるように、サイトの中に足を踏み入れると、そこには光り輝くそれぞれの人生が広がっている。

 「トップストーリーズ」では、辻が気になるデザインを紹介したり、創り手との対談を展開。創刊時には家具デザイナーのフィン・ユールが制作した椅子を見るため、12歳の息子とデンマークのコペンハーゲンを訪ねた際のやりとりを公開している。辻が目にした緑、感じた風などが文章に散りばめられており、ともに旅したような感覚を持つことができる。

 世界に顧客を持つタイユール(仕立屋)の鈴木健次郎、日本画家の千住博ら、そのジャンルを先導する9人がつづる「9ストーリーズ」には、5年ほど前から親交がある英プレミアリーグの「レスター・シティFC」に所属するサッカー日本代表の岡崎慎司(30)も登場。「ゴールを決めるためには、事前にそのイメージを“デザイン”として蓄積しておくことが必要」とストライカーとして生きる中で見えた人生哲学を記している。

 衣・食・住・旅・美・知・楽と七つのテーマに分かれた「パノラマストーリーズ」では、英ロンドン、伊ミラノ、ローマ、米ニューヨークなど世界中から主夫やシェフなど30人以上の書き手が最新の情報を更新していく。


 世界に点在する書き手は辻自身が出会い、「書いてみないか」と依頼した。執筆未経験の人も多く、最初は思いを言葉にできない人も少なくなかった。岡崎とのやりとりでは、フィールドの中にいるからこそ感じられる言葉を盛り込もうと、「ゴールを決める瞬間の風をどう感じているの?」などの質問を、編集者として投げかけて想像力を刺激。思いは2千字以上にわたりつづられている。

 「書き手はそれぞれのジャンルを切り開こうと切磋琢磨(せっさたくま)している人ばかり。岡崎は、僕が(京都造形)大学で教えている(現在は退任)話をしたら、『僕はサッカー選手を引退したら学び直したいと思っている』と言われて、好奇心旺盛でいいやつだなぁと思っていた。一線で戦いながら、なお『サッカーだけしか知らない人間ではいたくない』と続く人生をデザインして生きているんです。いろいろな角度から発される他者の感覚に触れることで、読み手が立体的な視野を持ってくれたらうれしい」と願っている。

 海外で生活する日本人からの言葉に焦点を当てたのは、日本の報道のあり方に疑問を持ったことが始まりだ。15年暮らしているフランスは移民が多く、起きた事件の背景は政治や宗教などが絡み合い、複雑である場合が多く、情報を読み解く力が必要だ。

 しかし、同じ話題も日本では事実のみしか報じられないことに気づき、これでは「考える力が弱くなってしまう」と危惧する。サイトで発される言葉は、報道とは一線を置く、生の思いばかり。「各地で頑張っている日本人の生々しい言葉に触れることによって、生き方を再考するきっかけになれば。僕もたくさんの人と向き合う中で、先に続く人生をともに考えていきたい」と力を込めた。

 辻が取材や編集の中で気付いたこと、連載などは「アナザーストーリーズ」に収められる。

デザインストーリーズ

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