川崎が生んだ詩人で歌謡曲の作詞でも有名な佐藤惣之助(1890-1942)の業績を伝える企画展が、川崎市川崎区本町の東海道かわさき宿交流館で開かれている。詩人・萩原朔太郎らとの交友を写真や資料で紹介するとともに、愛した沖縄の風物を紹介し、川崎との絆を培った生涯に焦点を当てた。
惣之助は、現在の川崎区砂子にあった東海道川崎宿の名家に生まれ、多くの詩や小説、戯曲を残し、都内で51歳の人生を終えた。「人生劇場」(作曲・古賀政男)や「阪神タイガースの歌」(通称「六甲おろし」、作曲・古関裕而)の作詞でも知られる。
1922(大正11)年、沖縄本島や慶良間(けらま)諸島などを旅し、「琉球諸島風物詩集」を著した。3週間の沖縄滞在では地元の歌を三線(さんしん)を手に歌って過ごしたとされる。当時の首里の町並みや、現在も那覇市に設置されている詩歌碑など貴重な写真を展示し、旅の様子を再現している。
企画した同館の小笠原功副館長(74)は「沖縄が本土でほとんど知られていない時代に訪れ、その景観や地元の歌、言葉の魅力にのめり込み、それを伝える役割を果たした。釣り好きで庶民的な人柄も人気だった」と来場を呼び掛けている。
会場には、惣之助が作詞した楽曲のレコードも展示し、昭和の歌謡曲が流されている。企画展は6月24日まで。入場無料。月曜休館。問い合わせは、同館電話044(280)7321。