2015年5月から建て替えのため休館していたブリヂストン美術館が1月18日、「アーティゾン美術館」(東京都中央区)として開館した。開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」では、新たな収蔵品によって、より豊かになったコレクションの魅力を堪能できる。
新しい美術館名はアートとホライゾン(地平線)を組み合わせた造語。23階建て高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の1~6階に位置し、旧ブリヂストン美術館の約2倍に拡張された展示面積や最新の照明、空調設備を誇る。
初公開となる新収蔵品31点を含むコレクション206点が並び、展示フロアの6階から4階へ降りながら鑑賞する。テーマに掲げる「創造の体感」通りに、現代美術に深く分け入るような構成だ。
6階冒頭にはコレクションを代表する、腰に手を当てたマネの自画像が並ぶ。ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」の愛らしさに和みつつ、カサットやデ・クーニング、ジャコメッティといった新顔が楽しめる。白い壁は角度が工夫された一角があり、見え方によって見慣れた作品も印象が変わってくる。
5階から4階は装飾、古典、原始など七つのキーワードによって創造の世界を掘り下げる。紀元前のイランの土器や中国・景徳鎮の磁器、エジプトの聖なる猫の像など、絵画以外の作品も古代から現代まで豊富に並ぶ。
同館の島本英明学芸員は「休館中に注力したのが、新たに作品を収蔵することだった」と言う。創設者・石橋正二郎の伝統を引き継ぎながら、コレクションの幅を広げている。
3月31日まで。2月24日を除く月曜と同25日休館。チケットは同館のウェブサイトで日時を指定する予約制で一般1100円。ウェブ予約チケットが完売していない場合だけ窓口で当日チケット(一般1500円)を販売する。問い合わせはハローダイヤル03(5777)8600。