今年が戌(いぬ)年であることにちなんで、横浜開港資料館(横浜市中区)は「幕末明治 横浜犬事情」と題したミニ企画展を開催している。江戸から明治時代に描かれた浮世絵の様式の一つ、「横浜絵」の第一人者である歌川貞秀の作品などを通じ、当時の犬事情を紹介している。
同館主任調査研究員・伊藤泉美さんによると、江戸時代の日本で犬といえば、個人で飼うことはほとんどなく、群れで徘徊(はいかい)する里犬(地域犬)だった。貞秀は多くの洋犬を描いたが、いつも人と一緒にいる場面だという。「貞秀は、耳が垂れて足の長い洋犬そのものだけでなく、行儀良く飼い主に付き添う犬と人間の関係性が面白いと思ったのではないか」と伊藤さんは話す。
会場では、貞秀の「横浜開港見聞誌」の中にある、中国人女性の引く乳母車に寄り添って歩く洋犬など約10点を展示。20世紀初頭に撮影された、犬を抱く横浜の西洋人男性の写真や、犬の迷子広告を掲載した幕末明治期の新聞などもある。
2月28日まで(月曜休館)。入館料は大人200円、小中学生100円。問い合わせは、同館電話045(201)2100。