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滞在制作に取り組む思い 藤沢市アートスペースFAS

カルチャー | 神奈川新聞 | 2016年10月4日(火) 16:29

果実酒を前にした古堅太郎=藤沢市アートスペース
果実酒を前にした古堅太郎=藤沢市アートスペース

 JR辻堂駅北口の藤沢市アートスペースFAS(エファース)が多様な創作活動を行うアーティストらの制作と展示を支援するプログラム「Artists in FAS 2016」。選考を経て選ばれたアーティスト5人が、8日から始まる展示発表に向けて滞在制作を行っている。藤沢の地で何を感じ、何を得たのか、制作中の3人に話を聞いた。

 第1回となる今年は69件の応募者から、4人の入選アーティストと特別協力企業8hotelによる8hotel賞1人を選出。入選アーティストは8月から、エファースのレジデンスルームで公開制作を続けてきた。

 古堅太郎(41)は藤沢で取れた食べ物や知り合った人々から聞いたことを反映させた作品づくりを行っている。広島市在住で藤沢市は初めて。「街だけど海があり、山があり、自然豊かな所。自転車でいろいろと回った」と古堅。

 同市北部で庭を彫刻として見せる活動を行っている造園家と知り合い、意気投合。そこでもらった山ブドウなどを漬け込んだ果実酒を作品として展示する。制作を見学に来ていた女性が自宅の庭から持参してくれた白ゴーヤーもある。

 数カ月かけて熟成させる果実酒は「コミュニケーションを凝縮させ、時間とともに変化していく様子を他者と共有できるツール」だという。一見、アートとは関係なく思えるユニークな成果物によって、土地と人との交流を表現している。

水の循環に着目


 中村厚子(34)=横浜市神奈川区=は、都市と自然の関係をテーマに、水の循環に着目した創作に取り組んでいる。

 藤沢では海や川に赴き、水面にインクを垂らして紙に吸い取った形を、グルーガンを使って樹脂で再現。さまざまな形の波紋に見立て、半立体のインスタレーションに仕上げる予定だ。

 「一瞬一瞬で変わる水の模様は川底の地形や虫、魚などの生き物にも影響されて変わってくる。周囲の環境を反映し、凝縮したものが水の模様なんだと制作中はずっと考えさせられた」と中村。

 富士山や丹沢を望みながらの滞在制作。「自転車で海や川に行けるし、横浜と違って水辺に下りられる。程よく田舎を感じながら生活できるのがいい。できれば引っ越したい」と笑う。

自分の体験描く

 広田真夕(24)は多摩美大卒業後、養豚場で1年半働いたという変わった経歴を持つ。目的は絵を描くため。自分が体験したことを描くスタイルだ。

 以前は思ったことや想像したことを描いたこともあるが、もしかしたら誰かを傷つけてしまうかもと気にして、うまく描けなかったという。「自分の体験は自分だけのもの。自分の責任なので余計なことを考えずに描ける」と広田。

 「食べることってなんだろうと考えたかった。まだ整理できていないが、人間は傲慢(ごうまん)。でも他の生き物を食べなければ生きていけない。そんな思いを絵にしたい」

 養豚場でつけていた絵日記を基にしながら、体験したこと、感じたことをカンバスに描く。豚舎の掃除をはじめ、餌やり、種付けや注射、出産、出荷作業など一通りを経験。雨の日、200キロ近くもある豚を移動させる様子は重労働だ。

 「最初は豚が怖かったけれど、慣れるとかわいいし楽しかった。取材のために働いたが、働くことの楽しさも味わった。今後は食以外も視野に入れたい」

 他の入選者は壁画に取り組む川田知志。展示はエファースの展示ルームで10月8日~11月20日。祝日を除く月曜と10月11日休館。入場無料。問い合わせはエファース電話0466(30)1816。

 8hotel賞の森温(はる)の作品は、藤沢市鵠沼花沢町1の5、8hotelの客室807号で展示。1階フロントで観覧を申し出る。入場無料。問い合わせは8hotel電話0466(54)0880。


水の模様をかたどった樹脂を見せる中村厚子
水の模様をかたどった樹脂を見せる中村厚子

養豚場での経験を描く広田真夕
養豚場での経験を描く広田真夕

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