横浜や相模原、東京など県内外から集まった小中学生がこの春、メキシコの病院で、通院する子どもの患者とともに大型の壁画を完成させた。多くの人と交流し、協力しながら制作に取り組む姿を追った記録映像の上映会が、19日に横浜情報文化センター(横浜市中区)で開かれる。
壁画制作を指導したのは、画家の西森禎子さん(76)=同市神奈川区。西森さんは約30年前からメキシコや米国、オーストラリアなどで日本と現地の子どもによる合同壁画制作を手掛けてきた。その縁から、知人を通じてメキシコ・グアダラハラ市の西部メキシコ国立医療センター小児科病院での壁画制作を要請された。
西森さんの絵の教え子ら、当時小学4年から中学3年の子ども15人が、今年3月25日から4月4日まで現地に滞在。発達障害などで同病院に通院する地元の子どもたち20人とともに描き上げた。
縦6メートル、横15メートルの壁画には、メキシコの国旗にもあるワシや、ソンブレロ、テキーラなどのほか、仏像や太鼓、三味線などが描かれている。「日本とメキシコを象徴する夢と希望にあふれたモチーフで、両国が手をつなぐ」(西森さん)ことをイメージし、子どもたちが何を描くかを考えた。
制作を通じて両国の子どもたちは交流を深め、同病院の医師宅などにホームステイすることで現地の家庭や文化にも触れた。参加者からは「メキシコの子と仲良くなって、壁画をみんなで完成させたことが心に残った」(小6女子)、「あの壁画を見たら、病気とがんばって戦ってくれると思う。メキシコの子に明るい気持ちになってほしい」(小6女子)などの感想が寄せられたという。
記録映像は、子どもたちの交流や、試行錯誤しながら絵を描いていく姿を丹念に撮影した。上映会には一部の子どもも参加する。西森さんは「実際に描きながら、調和することや協力することを覚え、それを心に刻むことが壁画制作の素晴らしさ。子どもたちがともに活動した喜びを見てほしい」と話す。
上映会は19日午後2時から。参加費500円。問い合わせは、西森さん電話045(413)2339。