他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. カルチャー
  4. 【かながわの本】切ない深夜の声の友達「ラジオ・ガガガ」 原田 ひ香 著

【かながわの本】切ない深夜の声の友達「ラジオ・ガガガ」 原田 ひ香 著

カルチャー | 神奈川新聞 | 2017年11月1日(水) 15:19

かながわの本
かながわの本

「ラジオ・ガガガ」
「ラジオ・ガガガ」

 午前1時、コーヒーだろうか、カップを片手に、月光の差し込む窓際の机に向かいラジオを聴く女性。そんな表紙の絵に心躍らせページを繰った。実在するラジオ番組が、5編の短編小説それぞれに登場する。

 第1話の「三匹の子豚たち」に出てきたのは、TBSラジオの生放送「深夜の馬鹿力」を20年以上務める伊集院光。期待通りでうれしい。当代きってのパーソナリティーを冒頭に置いたというだけで、著者のラジオ愛が十分に伝わる。

 その第1話の主人公は、深夜放送だけに中高生かと思いきや、夫を亡くしケアハウスに入居した70歳の女性。そもそも伊集院も50歳に近く、20年以上聴き続けている記者も40が目前に見えている。聴き手はラジオとともに年を重ねるのだ。

 「伊集院は決して自分たちを裏切らない。いや、裏切っても、その裏切ったことをちゃんと話してくれるだろう」との一節は、リスナーならば膝を打つだろうし、それこそ人々がしゃべり手に求める誠実さ、率直さなのだと気づく。

 大柄な介護士を伊集院に見立て、感謝を独白する場面にグッとくる。回想シーンで、流産の悲しみに沈んでいた主人公が、正月の後片付けの合間、ビートたけしの「オールナイトニッポン」の初放送を偶然聴いて「一人じゃない」と勇気づけられた一節もいい(同番組は実際、1981年の元日深夜に始まった)。

 テレビともネットとも違う、声のメディアの温かみにあふれている。著者は神奈川県生まれ。

(双葉社電話03・5261・4818、1512円)

 
 
 
 

ラジオに関するその他のニュース

カルチャーに関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング