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季(とき)めく暮らし 行事研究家、文筆家
【海越しの富士】

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年11月21日(木) 12:41


古くから信仰の対象だった富士山。不二、不死など呼び名もさまざま。

【2019年11月17日紙面掲載】

 数年前、東京・千駄ケ谷にある鳩森八幡神社の富士塚を訪ねました。

 富士塚は、富士山を信仰する人の中で、実際に登山に行くことができない人のために作られたものです。登山口から頂上までの道を模し、頂上近くには、富士山の溶岩が置かれ、クマザサも植えられています。

 小さいながらも池や洞窟など、細部にこだわりが見られ、どんな思いで昔の人は、この小さな富士を歩いたのかしら、と思いを巡らせながら歩きました。

 神奈川では横須賀の三浦富士で、お焚(た)きあげなどの神事が行われてきましたが、富士塚同様、引き継いでいくことが難しくなっているようです。

 地域や社会の形が変わるたびに、暮らしや行事、思いが変わっていくのは世の常なのでしょう。ただ、ここ10年ぐらいの変化の速さは尋常ではなく、消えていこうとしているものが何なのか知るだけでも大変です。

 人間がついていけないほど変化が激しい中では、あらためて富士のように「変わらずにそこにあるもの」に目が向きます。

 立冬をとうに過ぎ、澄み渡る大気の中、三浦半島、西海岸から見える海越しの富士は今たっぷりと雪帽子。長い年月、たくさんの人の思いを受け取ってきただろう富士を、時の重なりとともに眺めているのだと思うと景色に重みが出てきます。

 日々変わる空の色と合わせて、海越しの富士は絶好の季節がやってきました。

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