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泉鏡花没後80年記念 ゆかりの鎌倉で二つの展覧会

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年11月20日(水) 15:55

鏑木清方による舞台「高野聖」の絵看板(左)。現在はびょうぶに仕立てられている=鎌倉市鏑木清方記念美術館
鏑木清方による舞台「高野聖」の絵看板(左)。現在はびょうぶに仕立てられている=鎌倉市鏑木清方記念美術館

 今年、没後80年を迎えた小説家・泉鏡花(1873~1939年)はかつて鎌倉や逗子に滞在し、土地に取材した「春昼」や「婦系図(おんなけいず)」といった名作を書いた。鏡花文学の魅力に迫る二つの記念展覧会がゆかりの鎌倉市で開催中だ。

 鏡花と日本画家・鏑木清方(1878~1972年)の深い関わりを紹介しているのが、鎌倉市鏑木清方記念美術館(同市雪ノ下)の「清方と鏡花」展だ。挿絵画家として活躍していた清方は23歳の時に初めて、鏡花の小説「三枚続」の装丁と口絵を担当した。

 同館の小林美香学芸員は「それ以前から、幻想的で怪しげな雰囲気があり、読む人の想像力に委ねるところのある鏡花の文学が、清方は好きだった」という。

 新派の舞台となった「高野聖(こうやひじり)」では絵看板を描き、男を誘惑して動物に変える美女が、誘い込んだ僧の体を川で洗う場面を取り上げている。

 清方は「高野聖」を繰り返し描いており、会場には91歳の個展に出した作品の下絵が並ぶ。生涯にわたって、魅力的な画題であり続けたことが分かる。

 鏡花も清方に信頼を寄せ、清方が日本画家として活動するようになっても交流は続いた。清方の本名から「健ちゃん」と呼ぶなど友人として付き合った。

 このほど、本画の所在が44年ぶりに判明した「築地明石町」に関しても、モデルを務めた江木ませ子とは鏡花を通じて知り合ったという。

 帝展で同作が帝国美術院賞を受賞すると、鏡花は「健ちゃん大出来(おおでき)である」と称賛を寄せた。会場には、モデルの表情を生き生きと伝える下絵が並ぶ。本画は東京国立近代美術館で12月15日まで展示中だ。

 小林学芸員は「ビジネスライクではなく、人と人が信頼し合う形で関わっていたことが、展示全体を通して伝わると思う」と話した。


泉鏡花作品の映画化ポスターが並ぶ一角=鎌倉市川喜多映画記念館
泉鏡花作品の映画化ポスターが並ぶ一角=鎌倉市川喜多映画記念館

 鏡花をはじめ、明治、大正から戦前にかけて映画化された文豪作品を、ポスターを中心に紹介するのが、鎌倉市川喜多映画記念館(同)の「明治・大正 文藝シネマ浪漫」展だ。

 鏡花の作品は、幻想的な美しさをたたえた作品と、花柳界や芸道を中心にしたメロドラマ的な作品に分かれるとされる。坂東玉三郎監督・主演の「天守物語」は前者、水芸の女太夫と苦学生の悲恋を描いた「義血俠血」は「滝の白糸」として何度も映画化され、後者に当たる。

 メロドラマ的な作品について、同館の阿部久瑠美学芸員は「女性主人公の自己犠牲と悲恋、男女のすれ違いや身分違いの恋愛は、日本映画全体に通底する文化的なテーマとして根付いている。鏡花映画には、鏡花ならではの幻想性と日本のメロドラマ的な魅力の両方がある」と評した。

◆「清方と鏡花」展は12月1日まで。11月4日を除く月曜と5、12日休館。一般300円ほか。12日午後1時半から、講演会「幻妖の美を求めて」を行う。講師は文芸評論家の東雅夫。500円。要予約。問い合わせは鎌倉市鏑木清方記念美術館☎0467(23)6405。

◆「明治・大正 文藝シネマ浪漫」展は2020年1月13日まで。11月4日を除く月曜と5日、12月29日~1月3日休館。一般300円ほか。問い合わせは鎌倉市川喜多映画記念館☎0467(23)2500。
 ※相互割引あり

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