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【帰り花】

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年10月25日(金) 17:21


小春日和の頃、桜や躑躅(つつじ)が季節外れに花を咲かせること。

【2019年10月20日紙面掲載】

 厳しい残暑がようやく和らぎ、やれやれとほっとしていたところへ、冬の兆しさえ入り交じるかのような、季節の流れに右往左往しています。

 激しく移り変わる陽気に惑わされることなく、趣のある音を響かせる虫たちを見習いたいところ。耳を澄まし、その声に導かれるように歩けば、ちっちっちっとかわいらしい鉦叩(かねたたき)の音が聞こえてきます。

 「小春」は旧暦10月の別名だから、まるで春のように穏やかな日なたぼっこしたいような日があっても、それを小春日和と呼ぶには、少し早い気がしてちゅうちょします。ただ、日なたのぬくもりと、日陰のひんやりしているその差の大きさを知るたびに、早々と季節は進んでいるのだと感じています。

 それは植物たちも同じようで、帰り花をあちこちで目にします。桜や躑躅、梅などなど。盛りの時に比べるときゃしゃで、不格好な姿のものも多く、それがかえって愛らしいものです。

 季節外れに咲くことから、狂い花、戻り花、返り花など、さまざまな名前があります。なんと呼ぶかによって、花の風情も変わってきます。口から発する言葉がどんな力をはたらかせるのか、教えてくれる花でもあります。

【三日月を待つ会のお知らせ】
 北鎌倉・円覚寺龍隠庵(りゅういんあん)(鎌倉市山ノ内450)で「三日月を待つ会」を開催。11月1、2日、午後3時半~同7時。月にちなむ食事と飲み物付き1万5千円。申し込みは葉山文化園☎0468(76)3188。

 
 

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