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横浜美術協会が100周年 記念展と記念誌発行

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年10月21日(月) 20:44

「横浜美術展」を伝える1925年6月6日付の横浜貿易新報の紙面
「横浜美術展」を伝える1925年6月6日付の横浜貿易新報の紙面

1970年「第26回ハマ展」会場入り口の様子(横浜美術協会提供)
1970年「第26回ハマ展」会場入り口の様子(横浜美術協会提供)

 「ハマ展」として親しまれている県内最大規模の美術公募展を主催する横浜美術協会(横浜市中区)が今年11月5日、創立100周年を迎える。これを記念した「第75回記念ハマ展」の開催と記念誌発行の準備を進める同協会で話を聞いた。

 22代目に当たる久保田晃二会長(76)は「地方の団体展で100年というのは聞いたことがない。設立は市が後押ししており、横浜は美術に対する意識が高かったのだろう」と話す。

 1919年、手工芸輸出作品の向上を図る工芸図案コンクールを計画した横浜市が、その前段階として市内在住の洋画家に呼び掛けて同協会を設立させた。

 同年に「横浜美術展」として現在の市開港記念会館で開催。21年の第3回展には洋画260点、日本画96点の搬入があり、23年の第5回展では日本画に下村観山、洋画に岡田三郎助を審査員に迎えた。


資料を眺める久保田晃二会長(左)と杉本鉄雄=横浜市中区の横浜美術協会事務局
資料を眺める久保田晃二会長(左)と杉本鉄雄=横浜市中区の横浜美術協会事務局

 23年に関東大震災が起こり、神奈川新聞の前身、横浜貿易新報の三宅磐社長が「焦土にすさんだ人心を落ち着けたい」と、会員の洋画家・川村信雄や日本画家・牛田雞村に相談を持ちかけ、25年に再開。桜木町駅前の市役所跡が会場だった。

 6月4日の展覧会初日を挟み、横浜貿易新報は「げに郷土芸術史に刻記すべき大記録」として連日にわたって記事を掲載。8日付の紙面では、家族連れや若い女性の入場が多いのを「嬉しい傾向」と喜び、「もう二度、三度目と言ふ熱心家も少なからず芸術の執着力の強さを忍ばしめるものがある」とつづる。震災後、市民をはじめ、社会全体が芸術に飢えていた様子が伝わってくる。

 「横展」と呼ばれていたが「ハマ展」の名称になったのは戦後間もない46年。まだ食糧難が続き、人々の生活は苦しかったが、文化面での立ち直りを求める声が市や進駐軍からもあり、旧横展の有志が集まったという。

 現在は洋画、日本画、彫刻立体、写真の4部門で約250人の会員、会友が所属している。他の美術団体でも活動する人が多く「自由な雰囲気」だという。

 写真部の杉本鉄雄(69)が「50年前、初めて入賞した時、日本画に片岡球子さんの絵が展示されていて印象に残っている」と振り返るように、日本画家の中島清之(きよし)、洋画家の江見絹子ら著名な画家が活躍した。写真部には、奥村泰宏や常盤とよ子、浜口タカシといった横浜を拠点に活動した写真家らが籍を置いた。

 久保田会長は「これからのハマ展で魅力ある取り組みをしなければ、続いていかない。若手が“いない”のではなく、若手を“育てる”意識で、いろいろな策を練っている」と今後の抱負を話した。

 「第75回記念ハマ展」は(1)第1会場の横浜市民ギャラリー(同市西区)で30日から11月11日まで、(2)第2会場の横浜赤レンガ倉庫(同市中区)で11月15日から27日まで行う(21日休館)。どちらも入場無料。(1)は会員の小作品と会友、一般の入選作品、(2)は受賞作品と会員、会友推挙作品、会員、会友の大型作品を展示。(1)では横浜市18区内美術会との交流展、鹿児島県奄美の画家たちとの交流展も同時開催。問い合わせは同協会☎045(251)1156。

 
 

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